映画『バッファロー’66』を見ました!
公開から20年以上たった今見てもやっぱりいい作品です。
今回は『バッファロー’66』のあらすじからラスト・結末までをネタバレありで書いています。
『バッファロー’66』の作品情報
【原題】Buffalo’66
【劇場公開日】1999年7月3日
【製作年】1998年
【製作国】アメリカ
【配給】キネティック
【監督】ヴィンセント・ギャロ
【キャスト】ヴィンセント・ギャロ、クリスティーナ・リッチ、他
『バッファロー’66』のあらすじ
5年の刑期を終え、刑務所から釈放されたビリー・ブラウン(ヴィンセント・ギャロ)は、ニューヨーク州バッファローの実家に向かう。
両親とはうまくいってないため刑務所にいたことは伏せていて、電話で「政府の仕事で遠くまで行っていた」と言い、しかも「フィアンセを連れて帰る」と嘘をついてしまう。
恋人もいないビリーは、ダンス教室でレッスンを受けていた少女レイラ(クリスティーナ・リッチ)を拉致して、婚約者のふりをするよう脅す。
しかしビリーの目的は実家に戻るだけでなく、バッファローで5年前の復讐をすることでもあった。
『バッファロー’66』のネタバレ
冒頭からギャロ演じるビリーが変です。
トイレに行きたいのだけど、なかなか空いているトイレに入れずイライラしています。
やっと入れたと思ったら、尿意が収まってしまい用を足せない。
不運でおかしな男だなぁ、と印象づけてきます。
久しぶりに実家に電話してもビリーのことなんてあまり気にかけていない様子。
それでもビリーは実家に顔を出していないのは政府の仕事で遠くに行っていたから、とかフィアンセを連れていくなんて嘘を言います。
でも、フィアンセどころか恋人もいないビリーは、トイレを借りに入った建物でダンスのレッスンを受けていた少女レイラを拉致します。
ヒラヒラのワンピースタイプのレッスン着に真っ青なアイシャドウのレイラを両親の元に連れて行くことにします。
その時の脅し方がおかしくて…「俺の言うとおりにしろ。うまくいったら親友になってやる」(^m^)
「はぁ?」という顔をするレイラ。
「親友になってやる」って、自分を脅している相手と?
ビリーは真面目です。そういうちょっと変な人なんです。
しかも、やっと尿意を取り戻したビリーは用を足しに行きます。このタイミングで。
車に一人残されたレイラはなぜか逃げません。チャンスなのに。
レイラは脅迫されてついてきたにもかかわらず、ビリーに協力的です。
この時点でビリーの不器用さがわかって、なんとかしてあげたかったのかもしれません。
でも、両親はTVで放送されているアメフトの試合に夢中でビリーのことなんてどうでもいい様子。ビリーが産まれる時も、出産で試合を見逃したなんて文句をいう始末です。
ビリーが実家でどんな少年時代を過ごしてきたか伺えます。レイラじゃなくても同情しちゃいます。
そんな調子で、久しぶりの再会だったのに微妙な雰囲気のまま夕食を終えてビリーとレイラは実家を出ます。
ビリーは友人のグーンに電話します。
グーン(goon)とは「まぬけ」という意味です。
映画『グーニーズ』でも主人公含めあまり裕福でない暮らしをしている家族の子供たちなんですよね。蔑称というわけです。
この映画のグーンも同じ。見た目も太っていて冴えない感じ。
でも優しい。ビリーがマヌケ呼ばわりしてバカにしても友達のままです。
ビリーは電話で、自分が刑務所に入ったわけを話します。
スーパーボールで100 万ドルを賭けたスコット選手が八百長したこと、賭け元から脅迫され、彼の友人の代わりに刑期を務めたことを。
そして、刑務所に入る原因となったスコット選手に復讐するつもりだ、と言います。
スコット選手を狙うタイミングまで時間があります。ビリーとレイラはボウリングに行きました。
ビリーの腕前はプロ並みで、ボウリング場には自分専用のロッカーがそのまま残ってしました。
中にはビリーが昔の恋人だという女性の写真があります。
ひとしきりボウリングを楽しむと、ビリーは両親に写真を送ると言って証明写真の機械でレイラと写真を撮ります。
ポスターにもなっている写真です。
真顔で写るビリーに対し、レイラは変顔をしたり笑顔を見せたり、すっごく可愛い。
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復讐の相手スコット選手が現在がトップレスバーを経営して深夜2時に現れることを知ったビリーはレイラとデニーズに行って時間を潰します。
そこにボウリング場にあった写真の女性、昔の恋人だというウェンディがやってきました。
レイラがフィアンセとして両親に紹介された時の名前もウェンディです。
実は、ウェンディとは恋人関係になったことはなくて、ビリーが一方的に想いを寄せていたことがわかります。
なんか切ない。レイラもそう思ったはずです。
二人はデニーズを出てモーテルで休むことにします。
ビリーに「ウェンディは恋人じゃなかったわね」と言っても「恋人だ」と言い張るビリー。
でも、ビリーは幼稚園から高校までずっと一緒だったウェンディに全く相手にされず「ジロジロ見るな」とまで言われていました。
ボウリング場の写真はウェンディがからかって「写真をあげる」とくれたものを大事に飾っていたのでした。
レイラはそんなビリーに惹かれていきます。
でも、ビリーは自分の殻に閉じこもったまま。
一緒にお風呂に入ろう、というレイラに対し、こっちを見るな、と言って服を着たまま湯船に入るビリー。
子供みたいです。男女が一緒にお風呂に入っているのに全然いやらしい感じがありません。
その後ベッドに二人で横になりますが、大きな体のビリーのほうが子供で、母親のようなレイラの胸に体を預けて休みます。
『バッファロー’66』のラスト・結末
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スコットがバーに現れる時間になると、ビリーはコーヒーを買いに行くと嘘をついて外出します。
レイラは計画を知りませんが、何かあると察して涙ぐみながら言います。
「あなたは世界一優しい人よ。ハンサムだわ」
ビリーはスコットが経営するトップレスバーの前から再度グーンに電話します。
先の電話で怒鳴ってしまったことを謝り、刑期中レーズンを送ってくれたお礼をいいます。
そして、ボウリング場のロッカーの番号を教えて中にある大事なものをあげると言ってバーに入ります。
中にはトップレスの女性に囲まれたスコットがいます。
ビリーは自分がスコットを射殺し、自分も自殺することを想像しました。
そして自殺したら…両親はお墓にくるでしょう。
でもきっとそこでもアメフトの試合の中継をラジオで聞きながら、お腹が空いたと言って帰っていくのでしょう。
つまり、自分が死んだって何も変わりはしないのです。
ビリーはスコットを前にして一瞬でそんなことを悟りました。
急に馬鹿らしくなって、そして大切なことに気づくのです。
ビリーはバーを出て、再度グーンに電話しました。
映画が始まって、初めて笑顔を見せました。
「ロッカーのことは忘れろ。
何があったと思う?女に出会ったんだ。
気立てがよくて美人だ。俺を愛してる」
そして、近くの店でレイラが欲しがっていたココアを頼み、上機嫌でハート型のクッキーも注文し、近くに座っていた見ず知らずの客にも「恋人に」と言って同じクッキーをおごります。
店主にチップまではずみます。
ハート型はビリーの気持ちです。
こんな自分を好きになってくれる女性がいるんです。
しかも「気立てがよくて美人」です。
モーテルに帰ったビリーはレイラを胸に抱いて眠りにつきました。
『バッファロー’66』の感想
懐かしい作品です。
公開当時、渋谷のパルコの上にある映画館に行ったのを覚えています。
でも、確か映画館は最上階だったのに階段の下の方まで列が続いていて、並ぶ気になれなくて諦めて別の映画を見に行きました。
単館上映だったから人が溢れた、ということもありますが、そのくらい人気の映画でした。
ヴィンセント・ギャロが監督・脚本・主演・音楽を手掛けたことも話題でマルチタレントとして注目されていました。
当時のギャロはとにかくおしゃれでカッコいい!と評判だったのもよく覚えています。
それも、誰もが知っているメジャーではなくてサブカル的な注目のされ方で「ギャロが好き」というのがカッコいい、みたいな感じでしたね^^;
そんなこんなで映画館で見られなかった映画は結局後日レンタルになってから見たのだと思います。で、最近になってまた視聴。
今見ると、ビリーの孤独がものすごく伝わってきました。
ビリーは両親に邪険にされてもフィアンセ(ニセだけど)を連れて帰郷したり、両親に送ると言って写真を撮ったり、健気に一人の女性に恋し続けたり。
レイラは、そんな不器用だけど純粋なビリーを好きになったのだと思います。
とにかく可愛くて、おかしなビリーを見放さず応援するエンジェル役ですね。
このレイラ演じるクリスティーナ・リッチが当時は太っていてムッチムチ。
後になって激ヤセした時はびっくりしましたね~。
ビリーが復讐をしようとスコットの前に立つシーンは印象的です。
ストップモーションで描かれて、音楽も独特で面白いです(^^)
ラスト、スコットへの復讐をやめてからのビリーの言動がピュアで、ハート型のクッキーを買うところなんてなんだか泣けてきます。
ビリーが出所した日の一日の出来事だけど、その一日で、これまでの実らなかった恋も、不運で刑務所に入ったこともすべて吹き飛んでしまうような最高の日になったんじゃないかな、と思います。
この映画のビジュアルも素敵です。全体にくすんだレトロな色調の中、ビリーが履くショートブーツの赤とレイラの金髪、ヒラヒラの服、青いアイシャドウが映えます。
見終わった後、じんわり温かくなる映画でした(^^)
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