映画『グレイテスト・ショーマン』の主人公P.T.バーナムは普段日の当たらない人たちをスターにしたことで大成功を収めます。
でも、それは一歩間違えればマイノリティの人たちを見世物にするという今では許されない行為になってしまいます。
昔は日本にもあった「見世物小屋」がそれに該当しますが、どんなものだったのでしょうか。
「フリークス」と呼ばれたサーカスの登場人物にはどのような人たちがいたのでしょうか。
目次
『グレイテスト・ショーマン』は「サーカス」
劇中、バーナムのショーは人気となり連日大勢の人々が見に来るようになります。
でも、崇高な芸術しか認めない批評家は新聞で批評し「サーカス(大騒ぎ)」だとこき下ろします。
バーナムはその批評家に対し「あなたの言葉を使わせてもらったよ」と建物の看板を指差します。
そこには「バーナムのサーカス」と書かれています。
批評家は酷評のつもりで使った言葉ですが、バーナムは自分のショーを表す言葉として逆手に取ったわけです。
辛辣な批評家に負けない、スカッとするシーンです(^^)
バーナムはサーカス形式の基礎を作った人物の1人と言われていますが、こんな風にサーカスという言葉が使われるようになったのかもしれませんね。
「見世物」「見世物小屋」とは
バーナムのショーの特徴は、普段は日の当たらない人たちを主役にしてショーを行ったことです。
日が当たらないどころか、その存在を隠され、親にさえ疎まれていた人たち。
でも、バーナムは「他の人たちと違うからいいんだ」と言って、彼らをショーに出して輝かせます。
その彼らが胸を張って「これが私。This is me!」と歌う姿は本当に感動的。
ただ、昔日本でも行われていた「見世物」「見世物小屋」というのはちょっと扱いが違っていたようです。
見世物
元々は、江戸時代くらいに当時としては珍しい動物だった猪や孔雀を見せたのが始まりだったようです。
ですが、後に趣向が変わっていきます。
バーナムのショーにも登場したいわゆる「奇形」の人たちや、信じられませんが性行為を囲い覗き穴で見せるなど珍しいもの、禍々しく猥雑さを売りにしたものを見世物としていました。
今だったら絶対にできませんが、ウサギの死体を食べる子供などもいました。
他に手足のないだるま女や奇形の動物、双頭の動物なども見世物にされました。
当時は見世物にするために誘拐された子供が連れて来られたり、覗かせるための娼婦として人身売買されたこともあったようです。
もちろん、今では条例でそのような興行は禁止されています。
見世物小屋
前述の見世物に加え、パフォーマンスの要素を含んでいるものです。
映画のバーナムのサーカスはこちらに近いのかもしれません。
行われた芸は人間ポンプ、人間火炎放射器などの危険そうなものから犬の曲芸や玉乗りなど現在でも行われているようなものもあります。
曲芸の他にパノラマや迷路、映画の要素を取り込んでいったようです。
なんだか今で言う遊園地のような感じがします。
フリークスと言われた人たち
『グレイテスト・ショーマン』ではショーに登場する人たちの背景をあまり細かく紹介しないので、見ていて「この人達はどういう触れ込みなの?」と思うことがありました。
わかった限り紹介したいと思います。
ひげの女性
映画で一番目だっていたのがこのひげの女性。
私は見ていて「ひげが生えている女性?それともトランスジェンダーの男性?」と悩んでしまいましたが、「髭が生えている女性」が正解のようですね。
モデルはこのクレメンティーヌ・ドレですね。
実際バーナムのサーカス団のメンバーでした。
犬少年
映画ではバーナムが「犬少年」と名付けていましたが、実際のステージ名は「獅子面男ライオネル」だったようです。
彼も実在の人物ステファン・ビブロフスキーです。
顔中から毛が生えているので多毛症なのかな、と思いましたが手には毛がないですね。
ちょっとどういう症状なのかはわかりませんでした。
親指トム・トム将軍
映画ではバーナムが彼の噂を聞いて家を訪ねますが、母親は「うちに息子はいません」と彼の存在を隠そうとします。
小人症で22歳の青年の彼は自分でも人前に出るのを嫌いますが、バーナムが「誰もあなたを嫌わない」と熱心に説明します。
実際は4.5歳の子供だったようですが、小さいまま成長が止まったことは違いないようです。
シャム双生児チャンとエン
体のいち部分がくっついてしまっているチャンとエンもいました。
劇中では見事なバク宙を見せていますが、実際そのようなことができたかは定かではありません。
ちなみにチャンを演じたのは日本人の小森悠冊です。
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大きな人と小さな人
映画では大男が登場しましたが、実際のバーナムのサーカス団にいたのは女性のサンディ・アレンです。
隣りにいるのは「世界で最も小さな男」と称された身長84cmのミチュです。
アルビノの女性
映画を見ていてすごくきれいだな、と思ったのは色素の薄いアルビノの女性です。
動物のアルビノは「神聖な生き物」と言われたりもするのに、バーナムのサーカスにいるということは当時はつらい思いをしていたのかな、と思うと悲しいです。
まとめ
・バーナムのショーではフリークスと言われた人たちをスターにした。
・見世物、見世物小屋と言われたところでは珍しさ、禍々しさを売り物にしていた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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獅子面男ライオネルこと、ステファンは多毛症の中のうぶ毛性多毛症です。
産まれる時には抜けるはずのうぶ毛が抜けないまま成長する為、身体にも毛がありますし顔がこの姿になるようです。
おそらく、獅子面にするために手の毛は剃ったのかもしれません。
彼の病気は遺伝で、父親も同じ病気で同じようにバーナムのサーカスに出演していたそうです。
フリークス様
コメントいただきありがとうございます!
「産まれる時には抜けるはずのうぶ毛が抜けないまま成長する」
そうなんですね!
貴重な情報を教えて下さって助かります。
親子でバーナムのサーカスにいたのですね。