未咲が鮎美へ宛てた遺書。この遺書に込められた意味とは?
また、様々な手紙のやりとりが見られるラストレター。
その中から、裕里が鏡史郎に宛てた手紙と、鏡史郎が未咲へ送り続けた手紙について考えます。
目次
『ラストレター』の遺書の意味
物語の最後まで開けられなかった未咲の遺書。
その中身は未咲が高校時代に書いた卒業生代表の言葉(答辞)でした。
「まさかこれが」と不思議な気持ちになった人もいるかと思います。
この答辞を遺書として残した意味について考察したいと思います。
遺書に込められた未咲の想いとは?
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遺書として残された卒業生代表の言葉は、未咲と鏡史郎が一緒に考えた原稿でした。
「高校時代は私たちにとって、おそらく生涯忘れがたい、かけがえのない想い出になることでしょう。」
たくさんの想い出が詰まっている高校時代。
その高校時代のキレイな想い出が、未咲を生かしていたのでしょう。
鮎美への想い
「鮎美へ」と書かれた封筒。
遺書には、鮎美への想いが込められていたと考えるのが妥当です。
「私たちの未来には無限の可能性があり、数え切れないほどの人生の選択肢があると思います。
ひとりひとりが、今までも、そしてこれからも、他の誰とも違う人生を歩むのです。」
鮎美が高校を卒業する日には、「卒業おめでとう」という祝福のメッセージになるのではないでしょうか。
また、鮎美のこれからの人生を応援し、支える。
本来はそんな想いが込められていたと思います。
名前の「あゆみ」にもあるように、『一歩ずつ歩み、自分の人生を歩む。』
私の想像ではありますが、そのように感じます。
鏡史郎への想い
前にも書いたように、遺書の言葉は未咲と鏡史郎が一緒に考えた原稿です。
それを遺書として残したのは、鏡史郎への想いがあったからなのではないでしょうか。
鏡史郎と同様、未咲も鏡史郎の幻から抜け出せなかったのではないかと考えます。
「つらいことがあった時、生きているのが苦しくなった時、きっと私たちは幾度もこの場所を想い出すのでしょう。
自分の夢や可能性がまだ無限に思えたこの場所を。お互いが等しく尊く輝いていたこの場所を。」
阿藤からの暴力に耐え続ける未咲。
生きていくのが苦しかったことでしょう。
そんな時、想い出していたはずです。
高校時代の想い出を。
鏡史郎のことを。
輝いていたあの頃のことを想い出し、鏡史郎のことを想い、最期に送った手紙だったのではないでしょうか。
『ラストレター』の手紙の内容を考察
『ラストレター』には多くの手紙が登場します。
その中には「なんて書いてあったの?どんな意味があったの?」
と思うようなものもあったと思います。
私なりの考察を交えて紹介しますね。
裕里が鏡史郎に宛てた手紙
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本当のことを言いなさいと未咲に促され、鏡史郎に書いた手紙。
そこにはこう書いてありました。
「センパイのことが好きです。
私と付き合ってください。遠野裕里」
もしかしたら、書きたいと思う気持ちはもともとあったのかもしれません。
部活動の最中、共に行動していた鏡史郎と裕里。
自己紹介のあの日も、川で採取しているあの時も、鏡史郎を見つめる裕里は恋をしている目でした。
しかし、ラブレターを書いたらどうか、私が渡してあげるなど、思っていることとはかけ離れたことを言ってしまう裕里。
本当は自分が思いを伝えたい。
でも、この気持ちを鏡史郎に知られたくない。
そんな思いから、裕里は自分の気持ちを伝えられなかったのではないでしょうか。
未咲のことが好きな鏡史郎へ、自分の気持ちを伝えるのはとても勇気がいったはずです。
裕里の手紙を読んだ鏡史郎は「ごめん。・・・知らなかった。」と言葉をこぼします。
未咲のことで頭がいっぱいな鏡史郎は、裕里の気持ちに気づくはずもありません。
鏡史郎が書いた未咲へのラブレターを、裕里はどんな気持ちで読んでいたのか。
涙ぐむ目で「・・・はい。」と言うしかなかったその気持ちを考えると心が苦しくなる思いです。
鏡史郎が未咲に送り続けたラブレター
裕里に背中を押されて書き始めた未咲へのラブレター。
未咲の体調を気にしたり、共通の話題を作ろうと必死になったり、未咲のことが気になって仕方がない鏡史郎。
未咲はキラキラとしたオーラを放ち、生徒からも一目置かれる存在でした。
そんな未咲に、手紙で自分の気持ちを伝える鏡史郎。
手紙の返事はないのに何通もの手紙を送るその姿から、他とは比べようがないくらいの好意を寄せていたことが分かります。
それと同時に、ある意味鏡史郎は未咲に取り憑いていたのではないかと考えられます。
鏡史郎が未咲へ送り続けた小説の原稿
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「小説家になれるよ。」
高校時代、未咲に言われたその言葉で小説家を目指す鏡史郎。
「未咲のために書いた小説だから、未咲に1番に読んでほしい。」と1章を書くたびに手紙として送った鏡史郎。
未咲を想いながら書いたその手紙は、未咲に送る2度目のラブレターだったのでしょう。
高校時代に送っていたラブレターと同じように、未咲のことを想い、自分の気持ちを伝え続ける。
そんな風に夢中になって書いていたのではないでしょうか。
映画の中に出てくる小説「未咲」の帯には、
「青春時代の痛みをまざまざと思い出させられた。慟哭さえも愛おしい。」
と書かれていました。
輝いていた想い出だけではなく、つらくて苦しい想い出もはっきりと書かれているのでしょう。
映画の中では描かれていない小説「未咲」のストーリーがとても気になります。
未咲と鏡史郎がどんな人生を送ってきたのか。
想像するのもわくわくしますが、いつか読んでみたいものです。
まとめ
・未咲が残した遺書には、鮎美への想いと鏡史郎への想いが込められている。
・裕里が鏡史郎に宛てた手紙は、自分の気持ちに正直になれた証。
・鏡史郎は、未咲に桁違いの好意を持っていた。
・鏡史郎が送り続けた小説「未咲」は2度目のラブレター。