2009年公開、堀部圭亮監督、脚本。
原作は木下半太の同名小説。
映画の他テレビドラマ、舞台、漫画にもなった。
『悪夢のエレベーター』のあらすじ
とあるマンションのエレベーターに乗った順(斎藤工)は何故か気を失ってしまう。
意識を取り戻すと、エレベーターには、チンピラ風の格好をした安井(内野聖陽)、ジャージを来たマンションの住人牧原(モト冬樹)、ゴスロリファッションの少女カオル(佐津川愛美)が乗り合わせていた。
エレベーターは停止し、外部に連絡しようにも非常ボタンは壊れ、携帯電話の電池は充電切れている。
パニックに陥る中、見知らぬ者同士だった4人はそれぞれ自分のことを話し始める。徐々に仲が良くなるように思えたが、順はエレベーターに足を踏み入れた時のことを思い出し何かがおかしいことに気づく。
『悪夢のエレベーター』の感想(ネタバレ注意)
面白かった!毎度おなじみアマゾンプライムビデオで鑑賞。
トップ画像に惹かれて見たら当たりでした(^^)
緊急停止したエレベーターで居合わせた見知らぬ者同士4人、しかもなんだかみんなワケアリそう、なんていう設定だけでワクワク。
画像の雰囲気から「キサラギ」みたいなコメディ・サスペンスなのかなぁ、と勝手に予想したら見事に裏切られました。
ここからネタバレになるので、まだ見ていない方はご注意を。
四人はそれぞれ自分の秘密を打ち明けることになります。
チンピラ風の安井はこのマンションに泥棒に入ったこと、ゴスロリ少女のカオルは心の闇を、ジャージ姿の牧原は人の過去が見えることを。
そして、一番まともそうに見えた順は実は不倫をしていて、このマンションに住む愛人の家に来たことを白状しました。
もしこのままエレベーターから出られず、万が一ということもあるので、カオルが持っていたボイスレコーダーに遺書を残すことになりました。
順が妻の麻奈美(本上まなみ)に不倫を告白し謝罪を吹き込んだ後、エレベーターに乗り込んだ時のことを思い出し、何かがおかしいことに気づきます。
ここからサスペンス色が一気に強まり、緊張感が走ります。
順は愛人の家から下に降りるエレベーターに乗ったはずなのに、上階の家に空き巣に入ろうとしていた安井、屋上から投身自殺を図ろうとしていたカオルと乗り合わせたことになるのです。
順がエレベーターに乗ってすぐエレベーターは急降下したはずですし、カオルはそもそもエレベーターに乗っていなかったことも思い出しました。
すると、見知らぬ者同士だったはずのカオルが安井に「どうします?社長」と話しかけ、牧原は急にオネエ言葉で話し始めます。
この展開引き込まれますね~。
そして「ミスったな」というところで安井は順に用意していた睡眠薬を打ちますが、そのまま順は死んでしまいます。
あれ?このままキサラギ的なコメディ要素が見えてくると思ったら、むしろサスペンスになっていきます。本当に死んじゃうの?
実は、順以外の3人は、順の妻麻奈美に雇われた探偵とその仲間でした。妊娠中の麻奈美は順の浮気を疑い、白状させたかったのです。
でも、予定外に順は死んでしまいました。ここからはドタバタです。
殺意がなかったとは言え殺人を犯してしまったので、順を投身自殺に見せかけようと右往左往。
エレベーターの監視カメラの映像を回収しようと管理人に行ったら、うっかり管理人を殺してしまい、でも実は生きていて、それに気づいて本当に殺してしまったり。
順にフラれた愛人は屋上から飛び降りようとします。ここはしっかり引き止める安井。
この引き止めるシーンがいいです。
愛人の陽子(芦名星)は順が自分のことを本当に愛していると思っていました。順に奥さんがいることは知っていましたが、いずれ別れて自分と一緒になると信じていたのです。
その日も陽子の誕生日で、指輪をプレゼントされた後のことでした。でも、奥さんは妊娠していてこれから出産の立会をすると言って帰ろうとする順に泣きながら指輪を投げつけたところでした。
絶望してフラフラと屋上から飛び降りようとする陽子に安井は言います。
「今日よりつらいことはたくさんある。つらくて死にたくなることがある。今日のことなんかどうでもよくなる」
変に同情したり慰めたりしないのがいいです。普通は「生きていればいいことがある」なんて言いますが、どん底にいる人にそんな言葉が届かないのがわかっているのでしょう。
陽子は「これから来るつらいことを楽しみに生きればいいっていうの?」と反論しますが、安井の言葉もどこか響くものがあったのでしょう。
安井は今日のことなんて後にどうでもよくなる、つまり乗り越えられる、と言いたいのです。
「早くこないかなぁ、つらいこと。たくさんくればいいのに」と泣く陽子ですが、安井がそっと手を差し伸べると自殺を思いとどまり、下に降りました。
陽子の「早くこないかなぁ」も心に沁みました(;_;)
『悪夢のエレベーター』のラスト結末
予定外に人が二人も死んでしまい、夜が明けてボロボロになって帰ろうとする安井は麻奈美と電話で話します。
すると、夫ではなく妹からメールが来たというのです。何かおかしな文面だ、と。
ここからどんでん返しです。
メールの文書はアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」でした。
カオルが安井にその話をしたことがあります。実はカオルは麻奈美の妹でした。
今回の計画を提案したのはカオルです。安井はカオルを雇ってから今日までのことを思い返し、すべて合点が生きました。順が死んでしまったことも。
カオルは姉麻奈美と仲が良く、順が浮気していることを憎く思っていました。そして、探偵として今回の計画を実行したのです。
安井は「誰もいなくなった」を思い出しました。
せっかく自殺を引き止めた陽子が危ないと思った安井は走り出します。
ラスト、含みのある笑顔を見せるカオルの笑顔で映画は終わります。
まとめ
きゃー!ラストびっくりでした(゚∀゚)
浮気夫を懲らしめるために妻が探偵に依頼したところまでは本当ですが、エレベーターに乗ってからの一連の出来事がカオルの脚本による計画だったとは思いもよらず…
しかも、カオルは境界型人格障害で、入院していた病院から姿を消していました。普段は天真爛漫な少女なのにエレベーターでの自殺願望のある根暗なゴスロリ少女は演技だと思っていましたが、それはカオルの別人格だったのかもしれません。
そしてラストのニヤリと笑う顔…
佐津川愛美さん、いい女優さんですね!これまで「可愛い女優さん」というイメージで見ていましたが、この映画を見て印象が変わりました。なかなかの演技派ですね。
結末はわかっているのですが、また見たくなる映画でした(^o^)
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ディズニーやジブリ作品も見られるのも魅力の一つ。
この映画すごく好きなので、
記事の誤りを訂正させてください…
かおるは乖離性ではありません。
境界型人格障害です。
つまり別人格などないのです。
狂気的なかおるも、にっこり笑うかわいいかおるもどっちも同じかおるです。
記事の訂正お願いします…。
たたお様
コメントいただき、また誤りをご指摘いただきありがとうございます!
今映画を再生しなおし、姉がかおるのことを「境界型人格障害」と言っているのを確認しました。
私の勘違いでしたね。
大変失礼致しました!