フランスの女優ベアトリス・ダル。
『ベティ・ブルー』で有名ですが、それ以外の出演作は意外と知られていません。
今回はベアトリス・ダルの隠れたおすすめ映画10本をご紹介します。
目次
ベアトリス・ダルのプロフィール
生年月日:1964年12月19日
出身地:フランス/ブレスト
モデルをしていたときにジャン=ジャック・ベネックス監督に見出され、『ベティ・ブルー/愛と激情の日々』で女優デビューします。
その後も様々な映画に出演しますが、彼女の演じる役は常に感情的で激しい、ベアトリス・ダルそのものでないかと感じられるようなキャラクターが多いように感じます。
ダルは過去のインタビューで、「自分に似た役をやりたい。妥協したくない。私と違いすぎるような人間は演じたくない」とも語っています。
そして麻薬問題や窃盗事件、傷害事件で逮捕歴があり、2005年にはフランスの刑務所に服役中の男性と結婚して刑務所内でセレモニーを催したそうです。
最近だと、水原希子ちゃんがベアトリス・ダルの若い頃にちょっと似ていると話題にもなりました。
たしかに、ちょっと似ている?!
ベアトリスダルのおすすめ出演映画・代表作
ガーゴイル
研究者レオの妻コレは性的な欲望が高まると相手をかみ殺す衝動にかられてしまう病を抱えています。
これまでに数々の罪を重ねてきたコレが今後殺人を犯さないようレオはコレを監禁します。
一方アメリカ人のシェーンとジェーンの新婚カップルはハネムーンでパリを訪れます。
しかしその旅にはシェーンの隠された目的があり……。
吸血鬼映画ともいわれるこの映画は、おぞましいシーンはあっても望まずとも抱えてしまった自分の異常性をどうにかしようともがき苦しむ者の姿が描かれています。
コレをダルが演じ、冒頭のシーンから衝撃を受け目が離せなくなります。
シェーン役のヴィンセント・ギャロは当時日本での人気が高まっていました。
日本ではあまり観ることができないクレール・ドゥニ監督の作品にダルはいくつか出演していますが、この作品は衝撃的で感情を揺さぶられる傑作です。
ベティ・ブルー 愛と激情の日々
海辺のバンガローで暮らすゾルゲは美しく野生的なベティと出会い恋に落ちます。
ベティはゾルゲのバンガローで暮らすようになり、二人は情熱的な愛欲の日々を送ります。
しかしベティの愛情表現は激しさを増し……。
ベアトリス・ダルのデビュー作であり代表作です。
私が初めてこの映画を観たのはかなり若い時だったため、冒頭から衝撃的だったことを覚えています。
奔放で情熱的なベティはとても魅力的だけれど、ちょっと激しすぎる……。
フランス語の原題『37°2 le matin』は「朝、37度2分」の意味で、女性が最も妊娠しやすい体温を現しているのだとか。
パリ、18区、夜。
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リトアニアからパリにやってきたダイガは、知り合いの演出家を訪ねますが軽くあしらわれます。
ダイガはホテルに住み込みで働き、そのホテルにはゲイのカミーユが恋人ラファエルと一緒に泊まっています。
ラファエルの兄でジャズ・バイオリニストのテオは、妻モナが家出中で子供と二人で暮らしています。
そんなパリの街で老女連続殺人事件が起きます。
1987年に起きた老女連続殺人事件をモチーフにしたクレール・ドゥニ監督の群像劇。
屋台のファストフードを食べ、しつこい男から逃げ、ポルノ映画館で男たちの中に混ざりポルノ映画を観るダイガ役のカテリーナ・ゴルベワが魅力的。
ダルが演じるテオの妻モナは、気性が激しいところがありながらも家族思い。
観終わった後は切ない気持ちになります。
クリーン
歌手として成功したいという夢を持っているエミリーは、ロック歌手の夫リーを薬物過剰摂取で亡くしてしまいます。
それと同時に一人息子の養育権も失ってしまうエミリー。
息子の養育権を取り戻し人生を立て直したいと願うエミリーですが、なかなかうまくいかず……。
オリビエ・アサイヤス監督が元妻マギー・チャンを主演に撮ったドラマ作品。
アルノー・デプレシャン監督などの撮影も担った撮影監督、エリック・ゴーティエの映像がすばらしいです。
マギー・チャンもかっこいいですが、エミリーの昔の友人役を演じるダルも少ないシーンながら強い印象を残します。
ここでダルを使うアサイヤスのセンスに目を瞠りました。
ナイト・オン・ザ・プラネット
ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキの5つの都市で同時刻に走るタクシー。
大物エージェントを乗せる若い運転手、英語の通じない運転手、盲目の女性客と口論する運転手、神父相手に話し出したら止まらない運転手、酔っ払い客に翻弄される運転手。
ジム・ジャームッシュ監督が描くオムニバス映画。
ダルが出演するのは、パリ編。
盲目の乗客をコミカルに演じています。
ダルのほかにも、それぞれのエピソードにロベルト・ベニーニやジーナ・ローランズなど個性豊かな俳優たちが出演しているのも見どころです。
屋敷女
クリスマス・イブの夜。
出産目前の妊婦サラの家に不審な女がやってきます。
サラが警察を呼ぶと女は姿を消し、サラは安堵し眠ろうとしますが、すでに女は家の中に侵入していました。
ダルが不気味な殺人鬼を演じたホラーです。
『ガーゴイル』でも血だらけでしたが、ダルは血が似合いますね。
フランスのホラー映画はあまり観たことがなかったのですが、ストーリーもきちんとしていて面白かったです。
グロ描写が苦手な方はご注意を。
H story
40年前に書かれたマルグリット・デュラスの脚本『ヒロシマ・モナムール』。
この古い脚本通りに演技することになる女優ベアトリス・ダル。
しかしそのことに違和感を覚えるダルは監督と意思疎通が図れず次第に追い込まれていきます。
監督は近年ジャン=ピエール・レオ―の主演映画を撮ったことでも知られる諏訪敦彦。
あらすじを読んでもわかるように一風変わった映画だと思います。
作家の町田康とダルの共演に注目です。
彼女たちの関係
芸術家のアリスはアーティストとして充実した日々を送り、プロボクサーを目指す恋人フランクと同棲しています。
そこへ人妻であるアリスの姉エルザが転がり込んできて……。
姉妹の共依存関係をスリリングに描いたサスペンス。
『ニキータ』のアンヌ・パリローが妹アリスを、ダルが姉エルザを演じています。
二人の関係が怖いと感じつつも見入ってしまいます。
嫉妬
TVキャスターとして成功をおさめたフランシスと自堕落な生活を送っているグロリア。
二人は20年前の少女時代に出会い深く愛し合っていました。
再会した二人は同棲を始めるのですが……。
『ベーゼ・モア』の女性監督ヴィルジニー・デパントの自伝的小説が原作となっています。
なんといってもフランシス役のエマニュエル・ベアール×グロリア役、ベアトリス・ダルの共演が見どころです。
裏切りの闇で眠れ
相棒のジャン=ギィと共に闇社会の危険な仕事を引き受けているフランク。
フランクは暗黒街の帝王・クロードから絶大な信頼を得ています。
しかしある日クロードが投獄されてしまったことをきっかけに、フランクは敵味方がわからない闇社会を生きることに……。
ブノワ・マジメル主演のノワール・サスペンス。
ダルはクロードの情婦役として出演しています。
役名もベアトリスです。
タイトルから『あるいは裏切りという名の犬』など一連のフレンチ・ノワールの一つなのかと思いましたが、原題は『やくざ』だそうです。
やくざ役のブノワ・マジメルは初めて見ましたが、かっこいいですね。
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まとめ
ベアトリス・ダルの出演映画を並べてみると、やはりフランス映画らしい人間関係を中心に描く映画が多いような気がしました。
近年はあまり出演情報が少ないですが、新作でまたベアトリス・ダルを観たいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。