映画「ベティ・ブルー 愛と激情の日々」のあらすじ、感想(ネタバレ)

ベティ・ブルー
1986年制作のフランス映画。

監督ジャン=ジャック・ベネックスの代表作。

原作はフィリップ・ジャンの同名小説。

あらすじ

ベティ・ブルー

リゾート地のバンガローで一人気ままに暮らしていたゾルグ(ジャン=ユーグ・アングラード)は、エキセントリックで魅力的な女性(ベアトリス・ダル)と出会い、一緒に暮らし始める。

本能のままに生きるベティは、誰にでも自分の気持ちをぶつけてトラブルにもなるが、ゾルグはそんなベティのありのままを受け入れ、二人は激しく愛し合った。

ある時、家主と喧嘩したベティは怒りが収まらず、家財を家の外に次々と投げ捨てる。勢いでダンボールを投げようとした時、それだけはダメだ、とゾルグが止めるので中を見るとたくさんのノートが入っている。

以前ゾルグが書いた小説だった。ベティは夢中で翌朝まで読み続け、ゾルグの才能に惚れ込んだ。

家主のいいように使われ、ゾルグが誰からも評価されないことに腹を立てたベティはバンガローに火をつけて、ゾルグと共にパリに逃げた。

ベティの友人リサ(コンスエロ・デ・ハヴィランド)の家に転がり込み、彼女のボーイフレンドエディ(ジェラール・ダルモン)も加わり四人で楽しく暮らし始める。

しかし、ゾルグを深く愛するほどベティの行動は激しく破滅的になっていく。

感想(ネタバレ注意)

ベティ・ブルー

見た後どっぷり浸ってしまい、1ヶ月くらい抜けられなかった映画。

ま、若い頃の話ですが^^;

好き嫌いがはっきり別れる映画だと思いますが、私にとっては一番好きな映画です。

最近また見返したけれど、今みてもすごい映画だなぁ、と思います。

一番初めに通常版を見て、まずベティに引き込まれて、激しいベティのすべてを受け入れるゾルグってすごい!こういう人と付き合いたい!とか思ったわけですが(若かったね!)、

後にインテグラル版をDVDで購入して見てみると、ゾルグも相当ぶっ飛んでてヤバイ奴じゃん!と思います。

何度も見ているのはインテグラル版の方なので、私の感想はインテグラル版のものになります。

以下ネタバレになりますのでご注意くださいね。

ひたすらベアトリス・ダル!

この人のために作られたんじゃないか、と思ってしまうほど、もうどのシーンも彼女に釘付けになります。

冒頭、トランクを下げて裸にエプロンみたいな格好でゾルグのバンガローに転がり込むところ。

バンガローのペンキ塗りを手伝って、記念にはしゃぎながら写真を撮るシーン。

真っ赤なセーターを着てランプをバンガローに放ってゾルグと共に走るベティ。

パリに移って友人のリサ、エディ、ゾルグの四人で盛り上がったり、レストランで働くベティに文句を言うお客をフォークで刺しちゃったり。

ゾルグの小説をコテンパンに酷評した出版社の編集長の家に文句を言いに行って暴力を振るって捕まったり。すごいね!まだ奇行は続くよ!

エディの実家のピアノ店の販売を任されたゾルグとベティは穏やかに暮らし始めたかのように見えたけれど、作家として認められないゾルグが安穏と暮らしていることがベティには才能の無駄遣いのように思え苛立ちます(これは私の解釈です)。

その苛立ちがピークに達すると、突如としてドアのガラスを拳で突き破り、かと思うと突然夜の街を走り出します。もう意味わからないですね(゜o゜;

そんなことがありつつも、二人はお互いを愛し、ある時ベティは妊娠検査薬で陽性反応を見ます。喜ぶ二人。

でも、その後外出したゾルグが帰宅するとベティは不在で、病院の検査結果の紙に「陰性」の文字があります。失望したベティはまたどこかに行ってしまったようです。

探しにいったゾルグが帰宅すると、そこには髪の毛をボサボサに切ってぐちゃぐちゃの化粧で泣くベティがいました。

このシーンも切なくて、トマトソースで自分の顔もぐちゃぐちゃにするゾルグがいいのですが…

冷静になると、ベティって避妊リングしてたんですよね(-_-;)

子供が欲しかったらそんなもの取りなさいよ!とツッコミたくなります。いや、冷静になっちゃうとこの映画は成立しませんね。

ベティはふさぎ込み、夜中に裸で浴槽に腰掛けて「自分の中から声が聞こえる」と言って泣き、精神を病んでいきます。

ある時は子供を親にだまって連れ出し、誘拐未遂事件を起こしたりします。この時、遊園地のシーンで始まり、寂れたデパートや石畳の街中をゾルグと手を取って走るシーンは絵的に見どころです。やってることはとんでもないんですけどね。

ベティの絶望は深く、ある時買い物からゾルグが帰ると自宅付近が騒がしく、イヤな予感がしてゾルグは家に駆け込みます。

ベティは不在で壁には血の痕があります。ベティは自分で右目をえぐってしまい、病院に運ばれていました。

ゾルグが病院に駆けつけると、ベティは植物人間にようになり、ベッドに縛り付けられています。もうベティが元に戻る可能性は低いと医者に言われ、ゾルグは絶望し、ある決断をします。

夜中に病院に忍び込むと「二人で旅に出よう」とベティに語りかけ、キスします。
「僕たちはいつも一緒だ。何があろうと誰にも離せない」そう言うと枕でベティの顔を押さえ、窒息死させました。

こんな結末になってしまうのが悲しくて、この時は号泣でした。

窒息死させたのはゾルグだけど、ベティは激しすぎる愛に生きて、自分でもコントロールできなくなって死んでしまったようで、なんとも言えない気持ちになります。

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ベティ演じるベアトリス・ダルは後のインタビューで「ベティは私自身」と言っています。

「人を愛してるときはその愛だけがすごく大切で、もうそれしか目に入らない。人を愛してるときは自分のくだらない人生なんかどうでもよくなっちゃうの。相手にもすべて投げ出してほしいと思う」(雑誌「Cut」より。家に当時の雑誌があった!)

本人も宝石泥棒したり獄中結婚したりとベティに負けず激しくて破滅的な生き方をしてますよね。本当に、ベティはこの人にしか演じられなかったじゃないかな、と思います。

ゾルグだって負けてない

ベティ・ブルー

インテグラル版ではゾルグも相当なものだと書きましたが、では彼の行動はどんなものだったのか。

エディの店で働き始めたゾルグとベティですが、先程書いたようにベティは文句を言われます。

その時ゾルグはどうしたか。出したピザを一度厨房に引っ込めて、生地の上の部分を全部捨ててスペシャルピザに作り直します。

どうスペシャルなのかというと、ゴミ箱から十分に腐った野菜を吟味して乗っけて、タバコの灰をアクセントに振りかけ、これでもかというほどチーズを振りかけて焼き直したのです。

お客さん、残飯スペシャル食べてた…(-_-;)

でも結局ベティと口論になって、ベティはお客の手をフォークで刺してしまいます。

それから、ベティが出版社の編集長に暴力を振るって捕まった時のこと。

ベティを取り締まる警察官に気に入られて仲良くなったゾルグは、編集長が告訴を取り下げればベティは解放される、とアドバイスをもらいます。

もちろんゾルグは編集長の家にGO!編集長を押し倒して酒を浴びせると「ベティはオレのすべてだ。オレの命なんだよ。言っとくが失うものはない」と言って脅し、告訴を取り下げさせます。

ベティのためならなんだってできるんですね~。

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ベティが病んでしまった時もすごいです。なんとか励まそうと考えたゾルグは、強盗をします。

女装して警備会社を襲い、大金を手に入れるのです。

このシーンはちょっとユーモラスに描かれていて、筋肉質でデカイ大女はどう見ても「女装」なのに、ゾルグの言いなりになる警備員はゾルグ演じるジョセフィーヌに惚れちゃいます。

「君は勇気がある」なんて言って口説き始める場面は強盗という行為をコミカルに見せて重くなりません。

戻ったゾルグは大金を見せて「島を買おう」と言いますが、ベティは「バカね」と言って微笑むだけで元気にはならないんですけどね。

ちなみに、この女装は伏線になっていて、最後にゾルグが病院に忍び込む時も同じ女装をします。

ゾルグは昼間、医師に暴言を吐いて病院を追い出されています。ここでもやらかしてますね。もはや暴言程度は可愛く感じます。

それで、ゾルグとしては病院に入れないということもあり、しかも犯行に及ぶのですから、またジョセフィーヌになったというわけです。

美しい映像

この映画が世界的にロングランヒットとなり、通常版、インテグラル版、デジタルリマスター版と繰り返し上映されるほど人気なのは、刺激的なストーリーも魅力だけれど、美しい映像も大きな要因だと思います。

序盤のバンガローに火をつけて、燃え盛るシーン。

ベティの誕生日に黄色のベンツに乗って広大な草原につれていき、車もこの土地も君にあげると言って、トランクからろうそくのついたケーキを取り出す場面(あぶないよ!)。

ベティ・ブルー

不機嫌なベティがスーパーの駐車場で車のボンネットに座り「お尻を温めているの」というところは、色彩に乏しい背景に車の黄色と赤いドレスが映えています。

ベティ・ブルー

グッとくるのはピアノの連弾。葬式で眠くなってしまったゾルグが眠気を覚まそうとピアノ店のピアノを勝手に弾き始めると、向かいのピアノでベティがそれに合わせて鍵盤を叩きます。

夜の青さと黄色い照明、黒く光るピアノとそこで穏やかにピアノを弾く二人が美しいです。

ベティ・ブルー

そしてラスト。ベティはゾルグの小説を何度も打ち直しながらタイプライターで清書し、出版社に送っていました。

ベティが目をえぐって病院に運ばれてから、出版社から連絡があり、ゾルグはようやく日の目を見たのです。

最後はゾルグが書いているシーンで終わります。ゾルグは二人の写真を見つめて原稿に取り掛かると、白猫が彼を見つめています。

ベティ・ブルー

ベティの声で「書いてたの?」と聞こえて「考えていたんだ」と答えるゾルグ。

ジャン=ジャック・べネックス独特の青い色に空気が染まり、静かな空気が伝わってきます。青で表された静寂が激しかったベティの印象を際立たせるようなラストに胸が打たれました。

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