映画『さよなら僕のマンハッタン』を見ました!
すごくよかったのですが、終盤の「逃げなかった方」という言葉が気になりました。
どういう意味なのでしょう。
感想もネタバレを含み書いています。
『さよなら僕のマンハッタン』の作品情報
【原題】The Only Living Boy in New York
【劇場公開日】2018年4月14日
【製作年】2017年
【製作国】アメリカ
【配給】ロングライド
【監督】マーク・ウェブ
【キャスト】カラム・ターナー、ジェフ・ブリッジス、ケイト・ベッキンセール、ピアース・ブロスナン、シンシア・ニクソン、カーシー・クレモンズ、他
あらすじ
大学を卒業して親元を離れたトーマスは、アパートの隣室に越してきた、W・F・ジェラルドと名乗る不思議な中年男性と親しくなり、人生のアドバイスを受けるようになる。
そんなある日、父のイーサンが愛人と密会している場面を目撃してしまったトーマスは、W・Fの言葉に後押しされ、父の愛人ジョハンナに近づく。
謎めいた隣人W・Fと父の愛人ジョハンナとの出会いを通して、それまで退屈で平凡だったトーマスの人生に変化が訪れる。
引用元:映画.com
逃げなかった方とは
「父親の過去を知った」と言うと、イーサンが
「どっちの?」と聞きます。
トーマスは「逃げなかった方」と言います。
結論から言うと「逃げなかった方」とはイーサンのことです。
なぜそれがイーサンなのか説明しますね。
トーマスがジョハンナとの関係を父親に告げた時のこと。
普通ならそこで父とジョハンナとの痴話喧嘩になりそうなものですが、イーサンはトーマスに掴みかかり
「ずっとお前を大事に思ってきたのに。
お前にはわかるまい」
と言います。
この時は、トーマスがイーサンを裏切るようなことをしたからかと思いましたが「お前にはわかるまい」にはもっと深い意味がありました。
イーサンはジョハンナを責めることもなく、二人は悲しそうに言葉を交わし、イーサンは部屋から出ていきました。
そして、ジョハンナがイーサンに新聞の切り抜きを手渡したところから急展開します。
トーマスがテニスの試合に勝利したことが書かれた記事ですが、その写真には金網越しにトーマスを見つめるW・Fの姿がありました。
トーマスはW・Fが作家のジュリアンだとわかりました。
彼はトーマスのことを新作『ニューヨークの少年』の中で書いていました。
トーマスはW・Fに会いに行き、真相を知ります。
昔、トーマスの両親とW・Fは友人同士でした。
W・Fは作家になり、トーマスの両親は結婚しますが、子供に恵まれません。
イーサンは不妊症だったのです。
通常の不妊治療に頼りたくない二人は、W・Fに頼み夫婦は子供に恵まれました。
でも、その時W・Fとトーマスの母親はお互いが愛し合っていることに気づいてしまったのです。
でもW・Fは遠くからトーマスを見守ることにしました。
以前、W・Fはその恋愛のことをトーマスに話していました。
もちろん、相手がトーマスの母親だということは伏せて、です。
その時「逃げた」と表現していました。
正しくはトーマスとその両親のことを思って「身を引いた」ということです。
そういう会話があったので、トーマスはイーサンのことを「逃げなかった方」と表現したのですね。
『さよなら僕のマンハッタン』の感想
大人の恋愛・人間ドラマに加え意外にも(?)ミステリー要素がある作品。
といっても、終盤までミステリーの要素は見えません。
突如として「あれ?」となり、それまで描かれたすべてのことが意味を持ってくるという面白い構成になっています。
登場人物みんなが自分の気持ち、大切な人への愛情を大事にしていて、それらをひた隠しにしていたり爆発させたり。
そんな様子をすごく丁寧に描いています。
全体を通してすごく好きなテイストなのですが、残念なところが一つ。
この監督マーク・ウェブ の描く女性が私の好みじゃないんですよね^^;
主人公の父の愛人ジョハンナは美しい才女なのだけど、どうしてもハナにつく。
『500日のサマー』のサマーも、ルックスは好きだけどあまり好きなキャラクターじゃなかった。
まぁ、好みなんですけどね。
最後まで、なぜジョハンナがトーマスと関係を持ったのか理解できませんでした。
イーサン夫婦がうまくいっていない理由もわかりましたし、不倫を擁護するつもりはありませんが、そのためにジョハンナと恋愛関係になったことも納得できます。
でも、ジョハンナはなぜトーマスとまで関係をもったのでしょうか。
しかも、トーマスが二人の関係をイーサンに話した時、イーサンはジョハンナを責めずジョハンナもイーサンに「愛している」と言っていました。
なぜ??
そこのところが理解できずモヤモヤしています^^;
私の理解力がないのか、何か見落としているのか。
でも、その点を除けばすごくいい映画でした!
トーマスを軸に、皆がお互いを大事に思っているからこそ立ち止まっていたんですよね。
特に、W・Fがバーでトーマスに真相を打ち明けるシーンはよかったです。
ジェフ・ブリッジスが素敵すぎる!
本当はずっと、トーマスにもトーマスの母親にも会いたかった、という気持ちが溢れていて泣かされます。
その母親も、25年の間毎日W・Fが書いた本も読んでいた、というのも切ないです。
ラストは皆が自分の気持ちをオープンにして前に進みはじめ、清々しい気持ちになりました。
海外ではあまり評判がよくなかったようですが、個人的にはすごくいい映画でした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!