映画彼女がその名を知らない鳥たちのラスト、なぜ陣治は死んだのか?

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映画『彼女がその名を知らない鳥たち』を見ました!
刺激的なシーンが多く、ミステリー要素もあり見応えのある映画でした。
特にラストは衝撃的な終わり方で、陣治の行動が理解できない方もいらっしゃると思います。
独自の見解ではありますが、ラストについて考察してみました。

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『彼女がその名を知らない鳥たち』の作品情報

 

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【劇場公開日】2017年10月28日
【製作年】2017年
【製作国】日本
【配給】クロックワークス
【監督】白石和彌
【キャスト】蒼井優、阿部サダヲ、松坂桃李、竹野内豊、他

あらすじ

下品で貧相、金も地位もない15歳上の男・陣治と暮らす十和子は、8年前に別れた黒崎のことを忘れられずにいた。
陣治に激しい嫌悪の念を抱きながらも、陣治の稼ぎのみで働きもせずに毎日を送っていた十和子は、黒崎に似た面影を持つ妻子ある水島と関係を持つ。
ある日、十和子は家に訪ねてきた刑事から、黒崎が行方不明であることを告げられる。
「十和子が幸せならそれでいい」と、日に何度も十和子に電話をかけ、さらには彼女を尾行するなど、異様なまでの執着を見せる陣治。
黒崎の失踪に陣治が関係しているのではないかとの疑いを持った十和子は、その危険が水島にまでおよぶのではとないかと戦慄する。
引用元:映画.com

『彼女がその名を知らない鳥たち』のラスト

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映画の終盤、十和子は黒崎失踪の真相を知ります。
正しくは思い出します。

黒崎は死んでいました。
そしてその犯人は十和子だったのです。

黒崎に捨てられ3年経った頃に、黒崎から十和子に連絡がありました。

以前黒崎は、お金を援助してもらう代わりに十和子を国枝という男に差し出していました。
しかも、黒崎はその国枝の姪と結婚してしまったのです。

自分と一緒になることを信じていた十和子は、深く傷つきますが、そんな十和子に黒崎はひどい暴力をふるい道端に捨てていったのです。

ひどい別れ方をしたにも関わらず、黒崎はまた十和子を呼び出し国枝に差し出そうとしました。

十和子は黒崎について行きましたが、後ろからナイフで刺したのです。
何度も何度も。

その後、呼び出した陣治が到着した時の十和子は呆然としていました。
陣治は黒崎を埋めて十和子を連れて帰りました。

眠りについて起きた十和子は、自分が犯した殺人にショックを受けて記憶を失くしていました。
陣治は隠し通すことを決意し、これまで一人で十和子の罪を背負って生きてきたのです。

でも、十和子は水島にナイフを向けたことで黒崎を殺したことを思い出してしまいます。
陣治にそのことを話し「もう生きていたくない」と言います。

でも、陣治は自分の命を懸けても十和子を助けるつもりでした。
十和子が黒崎からもらったピアスを高台から投げると、陣治は手摺の上に立ちました。

そして「十和子が思い出したことを全部俺が持っていってやる」と言います。

陣治は両手を羽のように大きく広げると、手摺からまっすぐ後ろ向きに落下しました。
空にはたくさんの鳥が舞い上がり、飛んでいきました。

なぜ陣治は死んだのか

陣治が飛び降りる時に、二人の馴れ初めから今までの思い出が描かれます。
死ぬ前の陣治の走馬灯ですね。

悲しいラストになってしまったのに、出会った頃の幸せそうな様子に泣かされます。
思いがけないラストになるわけですが、陣治はなぜ死ぬ必要があったのでしょうか。

人によって見方は違うと思いますが、私の感想・考察を書きますね。

十和子の罪を背負うため

黒崎を殺した犯人は十和子ですが、そのことを知っているのは十和子本人と陣治だけです。

これまで、陣治が必死に十和子を守ってきたわけですが十和子は思い出してしまいました。

でも、陣治が死ねばそのことを知る人は十和子の他いなくなるわけです。

それなら自分が死ねば十和子の意識はいくらかラクになってリセットされるかもしれない、と陣治は考えたかもしれません。

自分が十和子の罪を背負って死ねば、その罪が浄化されるかもしれない、と。

最後に飛び立ったたくさんの鳥たちは、そんな様子を表しているように思えました。

陣治の思いが天に飛び立ったように見えたのです。

十和子に希望を与えるため

飛び降りる前、陣治は十和子に言います。

 

「十和子、俺を産んでくれ。

幸せになって俺を産んで、俺をとことん可愛がってくれ。

十和子の肚の中に入ったら、男の子でも女の子でも、それは俺や。

約束やで」

 

そう言って飛び降りてしまいました。

陣治は「十和子が思い出したことを全部俺が持っていってやる」と言った通り十和子の罪を背負って死ぬわけですから、十和子は陣治に借りができたわけです。

だから、陣治の言うことを聞かなくてはいけません。

それが「俺を産んでくれ」だったわけです。

 

「結婚して幸せになり、子供を産む」というのは、普遍的な女性の幸せですよね。

陣治もそれを十和子に願っていたと思います。

自分の命と引き換えにでも、十和子には幸せになってほしかったのでしょう。

死ぬことで十和子が死ぬまで自分のことを思ってもらえる

これは、陣治の一番の気持ちではなかったと思います。
なんせ、ひたすら十和子を守ってどこまでも幸せになってほしかった陣治ですから。

でも、結果として陣治が自分のために死んだら十和子は一生陣治のことを忘れませんよね。

実際、最後に十和子は

 

「陣治、たった一人の私の恋人」

 

と言っていました。

この一言で陣治は報われたのではないかな、と思います。

衝撃的な展開が続いたので、見ていた私も報われました(笑)。

私の勝手な考察なので「えー、違うんじゃない?」という意見もあるかもしれません。

よかったらあなたの感想もコメントで聞かせて下さいね!

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bird彼女がその名を知らない鳥たちのタイトルの意味は?ネタバレと感想・考察 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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2 COMMENTS

武内

不快だったのに、ツマラナイのに、ラストを迎え終わった時に、
陣治の不快、深い愛情に自分の心を占拠されてしまったような感覚でした。

ここまで後追い(観終わったあと、映画情報をかき集める)をしたのは初めてです。

陣治が飛び降りた理由は、私も同感です。
ですが、現実的な私には、籍も入れてないないのにマンションを相続できない、ローン返せない、職なし、陣治の死で真っ先に疑われ、松坂桃李もここぞとばかりに出てこないか!?

という現実的なものが浮かびました。
最後の煙草をふかすところから、すでに死ぬな!これはどうする!?おい!おい!考えろ!となってました(笑)

松坂桃李を調べあげたのは、十和子の幸せを考えたものなんだな、と。
本物で、十和子が幸せになるなら身を引くし、害悪であるなら守る。
前と同じ轍は踏まない。ということから、調べあげたのでしょうね。

あくまで自分の幸せは、十和子の幸せの上に成り立っている。
十和子と寄り添うのが、自分以外であっても…

きっと、自分はここに心を支配されたのだと思う。
松坂桃李を刺すシーンも、仕事のはや上がりにしては早すぎる。場所も不確定。でも、十和子への愛情が、勘を働かせたのでしょう。十和子から電話で外食を誘うシーンも、陣治はピンときてそうなひと言を残してますしね。

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elin

武内様

コメントいただきありがとうございます!

「深い愛情に自分の心を占拠されてしまったような感覚」

わかります…ラスト泣きました( ノД`)

そして、陣治が死んだ後を考えてらっしゃるの、いいですね(笑)。

そうですね、マンションの相続、もったいない!

陣治の行動すべてが十和子を思う上で成り立ってるんだなぁ、と思います。

思い返すほど、すごいラブストーリーですよね。

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