リバーズエッジの原作のあらすじと意味は?結末のネタバレあり

リバーズ・エッジ

岡崎京子の代表作漫画『リバーズ・エッジ』が映画化されます。

公開は2018年。監督は行定勲、主演は二階堂ふみ、吉沢亮。

原作である岡崎京子の同名漫画が気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

あらすじ、概要などを紹介しますね!

あらすじ、概要より下にはネタバレ・結末を感想含めて書いていきますので、ネタバレを知りたくない方は「あらすじ」「概要・背景」のみご覧下さい。

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『リバーズ・エッジ』のあらすじ

若草ハルナは母と二人で団地に暮らすごく普通の女子高生。平凡だが「生きる実感」がないまま日々を過ごしている。

同じ高校に通う観音崎と付き合っているが、子供っぽく乱暴なところがある観音崎から心が離れてきている。

観音崎がいじめている山田のことを密かにきにかけているハルナは、山田をいじめから助けたことで彼の「宝物」を見せてもううことになる。

山田について河原に行くと、そこには人間の死体があった。

死体を宝物にしている人物はもう一人、同じ高校の後輩でモデルの吉川こずえがいた。

3人は次第に交流を持つようになるが、事件が起きる。

概要・背景


この漫画は岡崎京子の代表作と言われています。

私も漫画を持っていて、繰り返し何度も読みました。
私が持っているのは2000年に発売されたもので、この記事のトップ画像が漫画の表紙なのですが、面白いことに写真なんです。

漫画の絵を写真に撮ったもので、カメラマンはホンマタカシさん。

今回紹介するのに改めて見て気づきました。

そんな大物が写真を撮っていたとは!

1993~1994年に雑誌「CUTiE」に掲載され、バブル崩壊後の先の見えない不安感漂う空気の中青春を過ごす高校生たちを描いています。

一見自由なようで、それぞれ生きづらさを抱えている様子を独特のトーンで表しています。

 

原作についてはこちら↓

リバーズ・エッジ オリジナル復刻版

『リバーズ・エッジ』の感想・ネタバレ・結末

ここからはネタバレを含みますので、漫画を読んでいない方、映画を見たいから結末を知りたくないという方はご注意下さいね。

 

物語はリバーズ・エッジ、平たく言えば河原なんですが、川の近くにある高校で、主人公の若草ハルナが友人たちと他愛のない会話をしているところから始まります。

ふと窓の外を見るとハルナの彼氏観音崎が大人しい山田をいじめています。彼は大人しくて目立たないけれど、おしゃれできれいな顔をしているので実は女子に人気があります。

しかし、男子生徒にはそんなところが気に食わないのかいつもボコボコにされています。

山田は同性愛者だけれど、カモフラージュで同じ高校の田島カンナと付き合っています。

ある時山田が観音崎とその仲間にいじめられ、ロッカーに閉じ込められしまったまま夜になり、それを知ったハルナは学校に助けに行きます。

ハルナが山田を庇うのが気に入らない観音崎は山田をいじめ続けます。ハルナは観音崎の乱暴で子供っぽいところに嫌気がさしています。

またハルナが山田を助け、二人は交流するようになり、山田は自分が同性愛者であることをハルナに打ち明けます。

この二人のやりとりの合間、ハルナの心を語る描写がこの漫画の空気を表しています。

時折「実感がわかない。現実感がない」という言葉が入り「こうして山田君と歩いていることも実感がわかない」「現実感がない」と思っています。

山田は助けてくれたお礼に自分の「宝物」をハルナに見せたいと言い、夜の河原に連れていきます。

そこには人間の死体がありました。

山田は「この死体を見るとほっとする」と言います。

「自分が生きてるのか死んでるのかわからないけど、この死体を見ると勇気が出るんだ」

山田もまたハルナと同じ生きづらさを抱え、現実味や実感のない中生きていることがわかります。

死体の存在を知っているのはもう一人、同じ学校の後輩でモデルの吉川こずえがいます。

リバーズ・エッジ 吉川こずえ

こずえは同性愛者で、過食しては吐いて、を繰り返し、一見華やかなようでやはりどこか無理をして生きています。

密かにハルナを気に入っているこずえは、保健室やら屋上やらでよく会うハルナに声をかけ、二人は親しくなります。

一方の観音崎は、つれないハルナにむしゃくしゃしていて、ハルナの友人ルミと浮気します。しかもクスリも吸って…なかなかどうしようもない人です(-_-;)

ルミはルミで、妻子ある男性と付き合ってはブランド物を買ってもらい自慢したり、と関係を持つ男性をとっかえひっかえ。ルミもまた行き詰まっていたのです。

そんな中、学校で噂が広まります。河原に大金が埋まっているというのです。

大勢の生徒たちが大金を探しに行こう、とお祭り騒ぎになり、宝物の死体を見つけられると焦った山田は、浮かれる生徒たちの間で暴れます。

死体が見つからないよう、穴を掘って埋めることになりました。

夜に河原に集まった山田、ハルナ、こずえですが、言い出しっぺの山田はひ弱すぎて穴掘りの戦力になりません^^;

この時のこずえが印象的です。

たくましくシャベルで穴を掘り、ハルナに死体について語るのです。

リバーズ・エッジ

「あたしはね、ザマアミロって思った。

世の中みんなキレイぶってステキぶって楽しぶってるけどざけんじゃねぇよって。

ざけんじゃねえよ。いいかげんにしろ。

あたしにも無いけど、あんたらにも逃げ道ないぞ、ザマアミロって」

 

そう言ったあと、真顔で「なーんてね」と言いますが、本心でしょう。

意外です。笑顔でCMに出て注目を浴び、人気者のはずのこずえがこんなことを言うのです。

ここで「この漫画における死体とは何を表すのか」なんて語るのは野暮なんですが、生きる実感のない高校生たちにとってこの死体は「絶対的なもの。どうしようもないもの」の象徴なんじゃないかな、と思いました。

まるで世間を恨むようなこずえの言い分ですが「いくらステキぶったって行き着く先はこの死体なんだよ」つまり「どんな風に生きたって最後にはこうなる」ということなんじゃないかと。

ある意味「諸行無常」を描いていて、やっぱり岡崎京子すごい、と改めて思います。

何もかも不確定で行き先の見えない焦燥感を抱える彼らにとって、揺るぎない存在、何者にも変えられないものという存在は、安心感や安らぎを与えたんじゃないかな、と思うのです。たとえ「死」であっても。

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物語は進み「死」は彼らの間に深く入り込んでいきます。

観音崎が以前つらい状況にいた時、自分は何もしなかったなぁと反省したハルナは観音崎に優しくなり、一時的に二人はうまくいきます。

一方、好きでもない田島カンナと付き合っている山田は虚しさを感じ、カンナに八つ当たりして傷つけてしまいます。

カンナは、山田と親しいハルナに嫉妬してストーカーのようになります。

うまくいくかと思ったハルナと観音崎ですが、観音崎の浮気グセは抜けず、ルミを河原に呼び出します。

そこで事件が起こります。

 

都合のいい時だけ自分を呼び出す観音崎に腹が立ったルミは、観音崎のこころに突き刺さるような言葉を浴びせます。

観音崎は子供っぽい乱暴者だけれど、実は家族に愛されず、傷ついていました。

そこを突かれ、ハルナも自分もあなたのことなんか好きじゃないと言われた観音崎は我を忘れてルミの首をしめてしまいます。

崩れ落ちたルミを見て我に返った観音崎の元に、偶然河原に来ていた山田が現れました。

慌てる観音崎と対照的に「死体を埋めるなら手伝う」と冷静な山田。

二人が掘るものを取りに行く間にルミが息を吹き返しました。

ボロボロになって家に戻ると、オタクで引きこもりの姉がルミの日記を盗み見ていました。

元々仲が良くなかった二人は罵詈雑言の応酬の末、姉がルミをカッターで切りつけルミは血まみれで床に転がります。

同級生に殺されかけた上、家では姉に切りつけられ…散々です。

その頃ハルナはこずえの家で夕飯をごちそうになっていましたが、こずえに電話がかかります。

ルミが死んだと思っていた山田が「新しい死体を埋めよう」と連絡したのです。

ハルナが家を空けている間、もう一つ事件が起きていました。

山田に嫌われ、ハルナへの嫉妬で周りが見えなくなった田島カンナがハルナの家に火をつけ、焼身自殺をしました。

田島カンナがつけた火は、すべてを焼き払いました。田島カンナ自身の思いも、本人の体も。

ルミの赤ちゃんは流れ、ルミ自身は助かりました。

吉川こずえは仕事が忙しくなり、学校を辞めることになり、ハルナは火事の影響で団地に住めなくなり、引っ越すことになりました。

放火は業火のように悪いものを焼き払ったようです。

何かが解決したわけではないけれど、皆の生活がリセットされたようです。

ハルナの引っ越しの前日、山田がハルナの家に訪れ、夜に散歩します。

田島カンナの幽霊を見るという山田。

「生きている時の田島さんは全然好きじゃなかった。でも黒焦げになってしまった田島さんはすごく好きだよ」と続けます。

「黒焦げになってないと人を好きになれないの?」と聞くハルナに「ぼくは生きている若草さんが好きだよ」と山田は言い、ハルナはぽたぽたと涙をこぼします。

二人は「UFOを呼んでみようよ」と言い挑戦しますが、もちろんUFOは現れません。

UFOではなく、朝がやってきました。彼らの長い夜が明けたのです。

リバーズ・エッジの意味

 

「この漫画の意味がわからない」という感想を聞きますが、個人的には、あまり意味を考えなくていいんじゃないかな、と思います。

ストーリーを追うよりも、漫画で描かれることを見て感じる気持ちそのものを、岡崎京子は伝えたかったんじゃないかな、と。

死体を見た時の驚きや居心地の悪さ。いじめられる山田、過食して吐いてを繰り返すこずえの姿、そういう彼らを見て感じる気持ち、そういう気持ちそのものを描きたかったんじゃないかな、と思うのです。

ラスト、ハルナがなぜ泣いたのかはわかりません。

でも「胸が苦しかった」というハルナの気持ちは伝わってきます。

短い間に色々ありました。それらがすべて終わって、新しい生活が始まることになって、めまぐるしい気持ちの変化があって…説明のつかない涙なのかもしれません。

読んでいても、その「苦しさ」は伝わってきます。

それこそが岡崎京子の狙いなのかな、と思っています。

私は勝手に自分なりの解釈をするのが好きなので「田島カンナの放火はすべてを焼き払う業火のようだ」なんて書いてますが、どう思うかは読む人に委ねられています。

読む機会がある方は、ぜひ何度も読んで楽しんでほしいです。読む度に新しい解釈ができる漫画だと思います。

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