インスタント沼のあらすじと感想!ラスト結末をネタバレ

インスタント沼

2009年5月公開。監督は「時効警察」の三木聡。

『インスタント沼』のあらすじ

出版社に勤める沈丁花ハナメ(麻生久美子)は女性誌の編集者だが、売り上げが伸びず廃刊になり、会社を辞めた。

好きな男(松岡俊介)とも上手くいかず、泥沼に沈んでいくような状況の中、ハナメの父親が沈丁花ノブロウ(風間杜夫)という男だと知る。

真相を聞きに実家に行くと、母親(松坂慶子)は池に河童を探しに行って落ちてしまい、病院に運ばれて意識不明の重体だった。

手紙の住所を頼りにノブロウを訪ねると「電球商店」という怪しげな骨董品屋があり、ノブロウは胡散臭い人物で、店にたむろすパンク青年ガス(加瀬亮)から「電球」とよばれていた。

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『インスタント沼』の感想(ネタバレ注意)

Amazonプライムビデオで視聴。

写真が可愛くてなんとなく見てみたら当たり!でした。

そりゃそーだ、監督が「時効警察」の三木聡なんですものね。あのドラマが好きな人は楽しめると思います。私も大好き。

以下ネタバレになるのでご注意くださいね。

シュールでハイテンション

麻生久美子さんが可愛い!

雑誌が廃刊になって会社を辞めてそれなりに落ち込んだりはするけれど、決して暗くはなく、一緒に仕事をしていた市ノ瀬(ふせえり)との会話も絶妙。

このテンポ、麻生さん、ふせさんだから生み出せるんじゃないかな。

そして、三木監督独特のシュールなテイストがたまりません。

ハナメと市ノ瀬がにんにくを食べて口臭がすごいことになってしまった時は背景に「あなたのため息においませんか?」と書かれた大きな広告があり、そこに写る女性の顔は魂が抜けたようになんともマヌケ。

しかも、この広告は何度も出てきます。こういう演出、ほんと好きです。

他にも、ハナメが飲むミロの飲み方が独特で、粉末はたっぷり水は少しの泥のような「しおしおミロ」と呼ぶものをよく飲んでいたり、天然の不思議な感じのハナメの母は河童が見えたり。

このつかみどころがない感じの母を演じる松坂慶子さん素敵!

太っちゃっても魅力的な人っているのね~(悪口じゃないよ!)、いい女はいつまでもいい女だわ~。

元気を出すには蛇口をひねる

実の父を訪ねて行った先には怪しげな店「電球商会」があるのですが、父と思われる店主のノブロウは禿げ上がった胡散臭い男で、ハナメはがっかりします。

余談ですが、風間杜夫さん演じるノブロウの独特の髪型がかつらじゃないと知ってびっくりしました。

頭の真上くらいまで禿げているのですが、なんと剃っていたそうです。胡散臭さを演出するのは楽じゃないですね!役者魂を感じます。

ストーリーに戻ると、ハナメはがっかりはするものの、ノブロウに自分と同じ空気を感じて徐々に親しみを持ちます。

ハナメは錆びた折れ釘を持ち歩いていて、その良さをわかってくれるかどうかでその人を判断するのですが、ノブロウは見事に理解してくれたのです。やっぱり親子!

それでも、自分がノブロウの子供だと名乗り出たり「お父さん」と呼んだりしないところがいいです。あくまで他人として仲良くなっていくのです。

やがて、ノブロウに勧められてハナメは自分でも骨董品屋を始めます。

でも、うまくいかなくて落ち込んでいるとノブロウは奇妙なアドバイスをします。

「うまくいかない時は水道の蛇口をひねる!」

実際に蛇口をひねってダッシュで買い物に行き、溢れる前に帰ってこれるか、とか、それをクリアしたら今度は浴槽の蛇口をひねって、1杯になる前に食事して戻ってこれるか競争!とか謎のゲームをします。

溢れる前に戻ってこれて無邪気にはしゃぐハナメとノブロウ。このシーンすごくいいです!やってることは子供なんですけどね~。

そんなことをしているうちにハナメは骨董品屋の品揃えを変えることを思いつき、市ノ瀬にも記事にしてもらうなどの協力もあり、店は軌道に乗ります。

ツタンカーメンの占いマシーン

電球の店に遊びに来るパンク青年ガスとも仲良くなったところ、和装美人の和歌子(相田翔子)が店に来ると「ツタンカーメンの占いマシーン」を探してほしいと言います。

このシーンも笑ってしまいました。ツタンカーメン像の目の前で「探している」というのです。でも、その像は探しているものではなかったんですけどね。

お金を入れると「運命の人」の写真が出て来るらしいけれど、昔占った時は友人の手前写真を見るのが恥ずかしく、すぐに写真を捨ててしまったらしく、和歌子は自分でも見ていないのです。

翌日そのツタンカーメンを探しにいっても置いてなかったというところが映画「ビッグ」を彷彿させます。あれはツタンカーメンではなかったけれど。

写真を捨ててしまったせいか未だ独身だという和歌子に、電球はチャンスとばかり機械探しを引き受けます。

リサイクル業者3人組、東(村松利史)、大谷(森下能幸)、川端(松重豊)の協力もあり、廃棄場から機械を探しだすとなんとか使えるように直してみると、和歌子がコインを入れて出てきたのは電球の写真でした。

うまく出来すぎてない(-_-)?

そうなんです、電気工事業を営むガスが手伝い、電球と仕込んで電球の写真が出るようにしたのです。

えぇ~(゜o゜;

ともかくその作戦が功を奏して電球と和歌子はうまくいきます。

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『インスタント沼』のラスト結末

電球は店を畳んで旅に出ると言います。その際、お宝が入った蔵の鍵を100万円で買ってくれないか、と言い、ハナメはお宝が100万円でも安いかも、と踏んで買い取ります。

ガスと一緒に何もない田園地帯に向かい、蔵の扉を開けてみると、中から大量の土砂が出てきました。

騙された!とハナメは電球に怒りをぶつけますが、返金すると言う電球の言うことも聞かず去ってしまいます。

後から、自分のことをわかってくれたのは電球だけだったと気づいて電球を尋ねるも旅立った後でした。

ハナメに残されたのは大量の土砂だけです。ポジティブなハナメは思いつきます。

「これはインスタント沼だよ!」

冒頭にハナメは大量の粉末ミロにお湯を少しだけ注ぎ、泥々のしおしおミロを作っていました。あれは伏線だったんですね。

ガスの協力を得て、かつては沼だった場所に土砂を持ち帰り、そこに水を注いでインスタント沼を作ります。

沼ができました。いや、沼なんか作ってどうするのよ、とツッコミたくなったその時、沼に異変が起こります。

沼からブクブクと気泡が出て、なんだ?といぶかしがるハナメとガスの前に、勢い良く出てきたのは巨大な竜です。

ドドドドド、とすごい勢いで竜は空に飛んでいきます。

その勢いで、昔沼にハナメが沈めて後悔していた黒い招き猫が出てきました。昏睡状態だった母親が目を覚ましました。

旅立った電球は、和歌子に怒られながら空を仰いで竜を見ました。

「おい、すごいぞ!」ガスもハナメと一緒に驚いて、それから感動しています。

竜を見たからなんなんだ、と思われるかもしれませんが、100万円の価値はあったと思います。

「後悔の象徴」であった招き猫が戻ってきたことが、これからのハナメの人生が開けていくだろうことを表しているようです。

実家ではお母さんが元気で元通りの生活を始めたところ、荷物が届きます。

以前ハナメが飼っていたうさぎが行方不明になってしまったところ、見つけてくれた人が届けてくれたのでした。

ラスト、失ってしまったなけなしの財産100万円を取り戻すべく、ハナメはガスの仕事を手伝って高所作業車で高く上昇し、これからの未来も上昇していきそうな明るさを見せます。

下を見下ろすと、かつて好きだったカメラマンが恋人(白石美帆)と通りかかります。

長い髪の後頭部にはまあるいハゲ。河童?今のハナメには幸福の象徴に見えるかもしれません。

 

最初から最後でハチャメチャなテンションでずっとぶっ飛んだ話だったけれど、見た後は晴れやかで明るい気持ちになれます。

濃いキャラばかりの中、見た目は一番個性的なガスが一番常識的なのがよかった!

見た目普通のハナメのほうがよほど個性的です。ハナメに「パンクのくせに!」と言われながらもいつもハナメを助けるガス。

沼を作り終えた時ハナメが「私、あなたのこと…」と言いかけて竜が飛び出しました。

きっと二人はいい関係になったんじゃないかな、とラストのハナメの笑顔を見て思いました(^^)

ミロ飲もうっと!

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