映画『暗黒女子』面白かったです!
学園のマドンナ白石いつみが亡くなったところから物語が始まりますが、その犯人・黒幕は誰だったのでしょうか。
犯人はエンディングにわかりますが、伏線として多くの事柄が描かれていたので解説・考察します。
また、矛盾点についても書いています。
目次
『暗黒女子』の犯人と黒幕は誰?
この投稿をInstagramで見る
『暗黒女子』では、生徒たちの憧れである白石いつみが死んでしまいます。
スズランの花を手に持ち花壇に落ちて亡くなってしまいました。
犯人は誰だったのでしょうか。
犯人・黒幕は澄川小百合
文学サロンメンバーが集まり、いつみの親友である澄川小百合が進行役を務め恒例となった闇鍋をしながらメンバーそれぞれが書いた小説を朗読します。
各々犯人と思われる人とその動機を描いているので、犯人はサロンメンバーの二谷美礼、小南あかね、ディアナ・デチェヴァ、高岡志夜の誰かのように思えました。
しかし、意外にも犯人は澄川小百合だったのです。
小百合は冷酷で傲慢、究極のエゴイストありながら美しさを誇るいつみが大好きでした。
サロンでも副会長を務め、いつみの良きパートナーでした。
それなのになぜいつみを殺したのでしょうか。
いつみを殺した理由
いつみは父親によって恋人の北条慎二との関係を引き裂かれ、子供が産まれるのを楽しみにしていたのに堕胎させられました。
小百合はいつみの味方で、辞職させられた北条の連絡先を渡しました。
堕胎後半狂乱だったいつみは、サロンメンバーの前で飛び降り自殺をしてみせた後、北条と駆け落ちしてサロンを訪れました。
いつみは以前の美しさを取り戻し輝いて見えました。
ところが、北条との「ささやかな幸せ」を語り始めたいつみは凡庸でした。
小百合はいつみが「先生とコストコで買い物した」だの「生姜焼きを先生がほめてくれた」だのと「平凡な幸せ」を語るのが耐えられませんでした。
もうそこに、小百合が好きな以前の女王様然としたいつみはいなかったのです。
「私が主人公よ」と言い放っていたいつみが消えた時、小百合は鏡に映る自分を見て「美しい」と思いました。
次の主人公は自分だと考えました。
そして、スズランの花をお茶に入れいつみに飲ませ殺してしまったのです。
ですので殺した理由は「凡庸になったいつみに幻滅したから」ですね。
いつみは過激で小百合はいつもその側でほほ笑んでいるように見えましたが、小百合もいつみと変わらなかったのだと思います。
それどころか「少女特有の残酷さ」はいつみ以上だったと言えます。
『暗黒女子』の伏線と矛盾について解説と考察
この投稿をInstagramで見る
犯人は最後にわかりましたが、映画の中心となるのが文学サロンメンバーの書いた小説です。
小説の内容が、いつみの死の伏線のように見えましたが、実はミスリードだったと思います。
いつみも自分の書いた小説の中で
「伏線の張り巡らされた小説」という言葉を使っています。
のちにそれは、メンバーが書く小説を意味していたのだと感じさせます。
小説の内容それぞれを紹介しますね。
また、矛盾というか気になるシーンについても取り上げます。
二谷美礼『太陽のような人』
裕福でない家庭の美礼は特待生として入学したけれど学校に居場所がありませんでした。
そんな中優しく接してくれたいつみは文学サロンに美礼を誘います。
それだけでなく、経済的に苦しい美礼にいつみは妹の家庭教師を頼みます。
美礼はボランティアで老人介護のお手伝いもするように。
いつみは、美礼に文学サロンの高岡志夜がいつみの父と不倫関係にあるのではないかと疑い、悩んでいることを美礼に打ち明けました。
美礼はいつみ以上にショックを受け、その思いやりに感謝したいつみは美礼にスズランのバレッタを譲ります。
いつみが死んで花壇に横たわった時、スズランの花を手にしていたのは高岡志夜が犯人であるとのいつみからのメッセージだと美礼は小説に綴りました。
それがいつみにバレて弱みを握られたため、いつみの取り巻きとしてふるまうことに。
小南あかね『マカロナージュ』
小南あかねは老舗料亭の娘で、自分も料理が得意だったけれど料亭を継ぐのは兄と決まっていました。
あかねは洋食屋を開くのが夢で、文学サロンにあるキッチンに心を奪われました。
いつみのことをはじめは苦手だと思っていたあかねですが、話してみるときさくで感じがよく仲良くなりました。
料亭が放火によってで焼けてしまい落ち込むあかねをいつみは励まします。
あかねは文学サロンに入り、メンバーにお菓子を作るうちに元気を取り戻します。
いつみはあかねに「美礼が家庭教師として家に来ると物がなくなる。祖母の形見のスズランのバレッタもなくなってしまった」と相談します。
いつみが亡くなった時に手にしていたスズランは、美礼が犯人であるというメッセージだと小説に綴りました。
その恨みが募り放火してしまったのですが、そのことがいつみにはバレていました。
美礼同様その弱みで文学サロンでお菓子作りをすることに。
ディアナ・デチュヴァ『女神の祈り』
ディアナは、ホームステイでブルガリアってきたいつみと知り合い、仲良くなりました。
いつみの滞在中、ディアナはガイドを務め、美しいいつみに惹かれました。
ディアナの双子の姉エマは以前から日本に行きたがっていたので、いつみの通う高校に留学が決まります。
しかし、エマは不慮の事故でけがをしてしまい、代わりにディアナが留学することに。
ディアナも文学サロンに入り、そこであかねの腕にスズランの形のやけどがあることに気づきます。
どうやら料亭が放火された時にできたやけどのようです。
あかねは、いつみが卒業したら文学サロンを閉鎖しようとしていると知り
「私たちからここを取り上げるのか」と声を荒げました。
それを聞いたディアナはあかねを訝しみ、更に美礼が以前あかねが作ったお菓子を食べて吐いてしまったことを聞いてあかねがお菓子に毒を入れていると思い込みます。
ディアナは、いつみが死んだときにスズランをつかんでいたのはあかねの腕のやけどを示すメッセージだと小説に綴りました。
いつみにバレてディアナも取り巻きに。
高岡志夜『紅い花』
何気なく書いた小説が賞を取ったことで高岡志夜は作家デビューしました。
その小説『君影草』を読んだいつみ誘われて文学サロンに入ります。
いつみの誘いを嬉しく思う志夜でしたが、『君影草』を翻訳したいといつみがしつこく言うことには困っていました。
サロンに入ったディアナについては「怖い」と感じていました。
ディアナはいつみに呪いをかけるように人形を打ち付けていました。
いつみが日に日に弱っていくのを見て、志夜はディアナの呪いを確信します。
いつみが死んだときにスズランをつかんでいたのは、ディアナがスズランを植えたから彼女が犯人だと示している、と小説に綴りました。
古い小説なのでわからないだろうという軽い気持ちで自分の小説として発表し、まさか賞を取るとは思っていませんでした。
ところが、日本にきたらいつみが元となる小説を知っていて、盗作を公表すると脅しました。
文学サロンに女子高生小説家がいるとなれば格が上がるので、志夜も取り巻きにさせられました。
『暗黒女子』の矛盾点
【いつみはなぜ死なない?】
矛盾というか、明らかにおかしいでしょ!と思うのはいつみが「屋上から飛び降りたのに死ななかった」という点です。
映画ではメンバーが見ている前で飛び降りていました。
現実的に考えれば大変な騒ぎになったでしょうし、生死は明らかだったと思います。
いつみの美意識を反映してか、花壇の花が美しく舞い、スズランを手にしたいつみは死んでも美しく横たわっていました。
映像的にこの描写を入れたかったのだと思います。
しかし、映画としてはこの後生きていた、という展開がやはり解せません。
原作では、父親がスキャンダルにならないよう死んだことにしたのです。
それなら「メンバーが見ている前で飛び降り」ではなく、ひっそりと姿を消した、とかのほうがよかったのでは、と思います(;^_^A
わざわざ派手な死に方にしているのが謎です。
【いつみはなぜ弱みを掴むことができたのか】
いつみはサロンメンバー全員の弱みを握っていました。
でも、なぜその弱みを把握できたのか謎です。
志夜に関しては、盗作の元となる小説の存在があるので明白ですが、他は曖昧です。
美礼が援助交際をしていたというのは、車椅子の老人と共に多目的トイレから出てきた美礼が胸ポケットにお札を入れていたということが証拠となっています。
ですが、それで援助交際だと言われても解せません。
ディアナが姉をケガさせたことも、あかねの放火も、いつみは現場を見たわけではないのです。
それなのに皆いつみに従ってしまうのが不思議です。
U-NEXT(ユーネクスト)に登録する方法!ビデオ見放題サービスが使える!まとめ
・白石いつみ殺害の犯人は澄川小百合
・伏線はメンバーの小説にたくさん張り巡らされている。
・いつみが屋上から飛び降りたのに生きていること、いつみが皆の弱みを握っているのは矛盾しているように思える。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!