宮沢りえ、オダギリジョー主演の映画『月』は実際の障害者殺傷事件がモデルになっています。
元ネタと言われる「やまゆり園障害者殺傷事件」について、また原作の小説についても紹介します。
目次
映画『月』の内容は?実際の事件と似ているのか
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モデルとなった事件津久井やまゆり園障害者殺傷事件とは
事件の概要
津久井やまゆり園障害者殺傷事件は、2016年7月26日に神奈川県相模原市の障害者施設「やまゆり園」で発生した事件です。
相模原障害者殺人事件、相模原障がい者施設殺傷事件、津久井やまゆり園事件とも呼ばれています。
施設に勤務していた元職員が施設内にいた障害者19人を殺傷し、26人を負傷させるという悲惨な事件となりました。
犯人は、元職員植松 聖(うえまつ さとし、事件当時26歳)で障害者の世話をする立場にあった人物です。
彼は計画的に襲撃を行い、事件の後自ら警察に出頭しました。
犯人は事件後、精神鑑定を受け、責任能力の有無が検証されました。
犯人はどのような人物だったのか
低学年の時に作文に「障害者はいらない」と書いており、当時よりそのような思想があったようです。
中学生の時は勉強ができる一方喫煙・飲酒・万引きなどの非行行為をおこなっていました。
高校では暴力をふるい転校しました。
大学生の時には入れ墨を入れ大麻を乱用、卒業後は半グレ集団や右翼関係者とも交流がありました。
運送会社での勤務を経て2012年12月より「津久井やまゆり園」に非常勤職員として働くようになります。
働き始めた頃は障害者に好意的で、今の仕事は天職だなどと話していたそうですが、入居者への暴行や業務外でも刺青が問題となっていきました。
2016年衆議院議長公邸を訪れた植松は衆議院議長の大島理森に宛の「犯行予告」とされる内容の手紙を職員に渡しました。
植松は同僚に「重度の障害者は安楽死させるべき」と発言したことから警察に通報され精神科の病院に強制的に入院させられます。
2016年2月20日に尿から大麻の陽性反応があり、22日に別の2人の精神保健指定医の診察を受けたところ、「大麻精神病」「非社会性パーソナリティー障害」「妄想性障害」「薬物性精神病性障害」と診断されています。
しかし3月2日、医師が「他人に危害を加えるおそれがなくなった」と診断し退院となっています。
そして2016年7月26日に事件が起きます。
事件の動機と判決
植松は動機について「国の負担を減らすため、意思疎通を取れない人間は安楽死させるべきだ」と述べました。
また、責任能力の是非に関して「自分は責任能力があり、もし責任能力がなければ死刑にすべきだ」と心神喪失を主張する弁護人とは正反対となる主張をしています。
自ら出頭した理由は
「自ら出頭することは現行犯逮捕されるより潔いと思った。
出頭することで自分が錯乱状態ではないことを証明し、自身の動機を社会に伝えたかったからだ」
と述べました。
2020年に死刑を求刑され、弁護人は「大麻を常用したことによる病的・異常な思考によう結果の犯行」と心神喪失として無罪を主張します。
植松本人は「どんな判決が出ても控訴しない」と述べ、これまでと同様に障害者への差別的な発言を繰り返しました。
2020年3月には求刑通り死刑を言い渡されますが弁護人はこれを不服として控訴。
しかし植松が自身で控訴を取り下げる手続きを行い、弁護人は控訴取り下げの無効を求めます。
この植松と弁護人との意思の反する手続きが繰り返されましたが12月に死刑が確定しました。
植松の望み通り(?)死刑が確定しましたが、2022年に再審を請求しています。
「再審請求すれば、外部と接触できるようになると思った」というのがその理由のようですが接見の制限は変わりなく、再審請求は却下されました。
弁護人はその決定を不服とし、抗告しています。
2023年8月時点はここまでです。
事件への反応
やまゆり園障害者殺傷事件は、日本国内外で非常に大きな反響を呼び起こしました。
メディアで大きく報道され、日本国内外で広く注目を浴びました。
事件をきっかけに、障害者の権利や支援体制に対する社会的な問題が再評価されました。
障害者の生活や安全、社会参加に対する配慮が喚起され、障害者支援の必要性や改善点が議論の焦点となりました。
日本政府は事件の受け止めや障害者支援策について検討を行いました。
障害者支援の強化や施設のセキュリティ対策の見直し、関連法の改正などが検討されました。
映画『月』の原作小説について
原作は辺見庸の同名小説『月』です。
小説であり実際の事件の名称は出てきません。
加害者、被害者の心情が綴られます。
映画と比べてみても面白いと思います。
他にもやまゆり園障害者殺傷事件について書かれた本があるので紹介しますね。
開けられたパンドラの箱
この悲惨な事件のようなことがもう二度と起こらないように、社会が変わらないまま事件が風化しないように、という思いから関係者への取材が行われ問題提起を
マンガ 「獄中面会物語」
著者が全国各地の刑務所や拘置所で面会した殺人犯のうち特に個性的だった7人の死刑囚について書かれています。
そのうちの一人がやまゆり園障害者殺傷事件の犯人植松聖です。
ニュースやネットではわからない植松聖の人柄が漫画でわかりやすく語られます。
本人に実際に会った著者だからこそ感じられたことが描かれているのが貴重です。
メディアで語られるイメージとは全然違ったのは驚きでした。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!