2019年の日本の芸能界では「闇営業」が大きな話題となりましたが、日本とアメリカでは芸能のシステムが大きく違いますよね~。
映画などの制作側でも契約システムが違います。
最近よく聞く「ファーストルック契約って?オーバーオールとは?」など気になる方もいると思います。
今回はその2つの契約についてまとめてみました!
目次
ハリウッドで多い2種類の契約
先述のようにハリウッドでは一流のクリエイターは映画スタジオと契約を結んでいる事が多いです。
その一つは「ファーストルック契約」、もう一つは「オーバーオール契約」です。
それぞれの特徴を書きますね。
ファーストルック契約
「ファーストルック」とは日本語でいえば「初見」。
この場合はクリエイターが企画を初めて見せることです。
クリエイターは契約を結んでいるスタジオにまず初めに企画を見せる、というのがファーストルック契約です。
スタジオは優先的に企画を見られる対価としてクリエイターに対し資金とオフィスを提供し、クリエイターは企画の開発に没頭できます。
スタジオは、自社だけでは多くの案件を扱えないため、いわば製作を「外注」しているのですね。
それもそのはず、ハリウッドのスタジオは毎年数百という企画案件があるそうですから。
クリエイターが作った企画をスタジオが気に入ればクリエイターはそのスタジオで製作を開始します。
その企画が採用されない場合、クリエイターは別のスタジオにその企画を売り込むことができます。
ただし、契約を結んでいる会社が示した条件より低い契約は結ぶことができません。
もし、企画内容を変更した場合は他社ではなく契約を結んでいるスタジオにまず企画を見せなければいけません。
オーバーオール契約
もう一つの契約方式はオーバーオール契約です。
オーバーオール契約を結んだクリエイターは、契約期間中の企画案件はすべてスタジオの所有となります。
ですので、もし企画が不採用の場合でもクリエイターは他社にその企画を売り込むことができません。
ファーストルック契約が「優先的に」クリエイターがスタジオに企画を見せるのに対し、オーバーオールは「独占」ということですね。
ここまでしてクリエイターを囲い込むオーバーオール契約を結ぶのは、それだけスタジオにとって魅力のあるクリエイターです。
映画だけではなく、近年VODが乱立していますから、その中で何シーズンにも渡るヒットドラマなどの場合途中で監督など制作陣がやめてしまうのはスタジオにとって避けたいことです。
そういう意味でもスタジオはヒットメーカーとオーバーオール契約を結んでおきたいのでしょう。
それぞれのメリットデメリット
上記と重複しますがまとめてみました。
ファーストルック契約の場合
メリット
・資金やオフィスなどが提供される。
・他社への売り込みが可能。独占的ではない。
デメリット
・オーバーオール契約より対価が低い。
それでもスタジオの敷地内にオフィスが提供され、製作開始となればスタジオが使えるのですからいい契約のような気がしてしまいますが^^;
全体の額が低いとはいえ、オーバーオール契約に比べてクリエイターの取り分が高いというのも特徴です。
・企画が不採用だった場合でも実は他社への売り込みがしにくい。
え、そうなの?「優先的」じゃないの?と思ってしまいますが前述のように企画が不採用で変更を加えた場合は再度企画を見せなければならないことや他社との契約の条件の他にも細かい規定が多く、他社に持ち込みにくくなっているそうです。
このため「安易な囲い込み」「ハウスキーピング契約」だとも言われています。
オーバーオール契約の場合
メリット
・ファーストルック契約と比べて資金が潤沢。
ファーストルック契約が掛け捨てで支払われることが多いのに比べてオーバーオール契約は数年単位で豊富な資金が用意されます。
デメリット
・独占的な契約であるため、他社へ企画を売り込むことができない。
せっかく企画を思いついても契約スタジオが認めない限りお蔵入り(少なくとも契約期間中は)というのは残念ですね。
それでもスタジオと良好な関係を長期で築いているクリエイターもいるので、スタジオと相性がよければ問題なさそうです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!