愛を読むひとの恐ろしいこととは?なぜラスト結末で自殺したのか考察

本

映画『愛を読むひと』を見て何度も泣いてしまいました(T_T)
でも、いくつか疑問がありました。
終盤の会話に出てきた「恐ろしいこと」とは何を指すのでしょうか。
また、なぜハンナは自殺したのでしょうか。

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『愛を読むひと』の作品情報

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【原題】The Reader
【劇場公開日】2009年6月19日
【製作年】2008年
【製作国】アメリカ・ドイツ合作
【配給】ショウゲート
【監督】スティーブン・ダルドリー

あらすじ

1958年のドイツ、15歳のマイケルは、21歳年上のハンナとベッドを共にし、彼女に頼まれて本を朗読してあげるようになるが、ある日突然、彼女は姿を消す。時は流れ、戦時中のある罪を問われて投獄されたハンナのために、マイケルは物語を朗読したテープを刑務所に送り続けるが……。
引用元:映画.com

「恐ろしいこと」とは?

ここからはネタバレを含みますので、映画未鑑賞の方はご注意下さいね。
まぁ、この記事を読んでいる方は映画を見ている方々だと思いますが^^;

映画の終盤、マイケルは教会の家事にあった被害者イレーナに会いに行きます。
そこで、マイケルとハンナの関係を知ったイレーナはマイケルに尋ねます。

愛を読むひと

「彼女はあなたの人生を変えたこと知ってたの?」

これは、そのまま「ハンナは自分がマイケルの人生に大きな影響を与えたのをわかっていたのか」という理解でいいと思います。

わからないのは次です。

イレーナの問いに対し、マイケルは

「彼女はもっと恐ろしいことも…」というのです。

愛を読むひと

ハンナがマイケルに恐ろしいことをした、ということ?

そう思って混乱しました。
該当することがないように思ったので。
言葉もなくマイケルの前から消えた、ということかなとも思いましたが、「恐ろしいこと」というよりは「ショックだった」とか「怒りを感じた」とかのほうが適切に感じます。

字幕では「もっと恐ろしいことも」だけで「誰に対して」が抜けています。
だから、話の流れから「マイケルに対して」だと思ったのですが、セリフのほうをたどるとやっとわかりました。

She’d done much worse to other people worse

と、マイケルは言っています。

直訳するなら「彼女はもっと悪いことをした。他の人々がより悪くなるように」ですよね。

つまり、イレーナが「ハンナはあなたの人生を変えたわよね」と言うのに対し

「他の人々にはもっと悪いことをしましたよ」と言っているわけです。

「他の人々」とは教会の火事で犠牲になった人々、広い意味に捉えるなら虐殺されたユダヤ人のことを指すのだと思います。

感情的なやり取りをいうなら

「ハンナに人生を変えられたのね(よくない意味で)」
「犠牲になった人々のことを思えば大したことではありませんよ」

という風にも捉えられます。

「恐ろしいこと」というと「何!?」と思ってしまいますが、もし私の解釈が正しければあまり重要でない会話の一部かもしれませんね。

原作を読んでいないのですが、上記の会話は小説にはないようです。

以上が私の勝手な考察です。
「考察」であって「正解」ではないので、ご承知おき下さいね。

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ハンナはなぜラスト結末に自殺したのか

もうひとつの疑問はハンナはなぜ自殺したのか、です。

ハンナは、20年の刑務所での生活を終えようとしていました。
マイケルが出所後の生活を整え、もう出ていくだけの状態でした。

タイミングだけを考えてるとよくわかりません。

しかし、その直前にマイケルとの面会がありました。
その時の会話がきっかけになったのでしょう。

ハンナの出所後の住まいを見つけたマイケルが
「図書館も近所にある。本を読むだろ?」と言うと

「聞く方が好き」とハンナが言います。

ハンナはまたマイケルに朗読してもらうのを期待していたと思います。
でもマイケルはそれに対し弱々しく微笑むだけで視線を反らします。

マイケルの気持ちを察したハンナは

愛を読むひと

「それはもう終わりね?」と言います。

ここでまず、ハンナはマイケルとの間の距離を感じたと思います。

答えないマイケルに対し「結婚したの?」など会話をした後、マイケルが

「過去のことを考える?」と言い、それが自分たちの過去ではないと説明すると、ハンナが刑務所に入ることになった原因についてだと理解し

「裁判の前は全然考えなかった。必要がなかった」と言います。

今はどう感じている?と聞くマイケルに

「どう感じようとどう考えようとも」

愛を読むひと

「死者は生き返らない」と言います。

マイケルは暗い表情のまま「じゃ 学んだものは?」と尋ねます。

愛を読むひと

ハンナは「学んだわよ坊や。字を読むことを」と言います。

この時のハンナの目は虚ろ。
マイケルとの距離は縮まらず理解されないことがわかったのでしょう。

マイケルはハンナの回答にがっかりしたのでしょう。
「反省」や「更生」を期待したのかもしれません。
もしくは何かしらマイケルが納得できることを言って欲しかったのかもしれません。

ハンナの言葉にマイケルは頭を抱えます^^;

愛を読むひと

「来週迎えに来る」というマイケルに、ハンナは一瞬戸惑ったような表情を見せ、気を取り直したように「待ってるわ」と言います。

「待ってるわ」と言いながら、もうこの時死を決意したのかもしれません。
ハンナはマイケルが帰ると絶望したようにその場に佇んでいます。

愛を読むひと

この後、ハンナは机に本を載せて、その本を踏み台にして自殺します。

この流れでハンナの自殺の原因を考えるならば。

まず、ハンナは裁判の時に自分の行為に関して全く悪びれた様子を見せませんでした。
まるで「仕事だからやったのになぜ責められなければいけないの?」とでも言いたげです。

裁判長に「あなたならどうしましたか?」と聞いてしまうほどです。

教会での火事については、映画では裁判でセリフでのやり取りのみで説明されます。
火事の映像はなく、大変な状況の中教会を開けて囚人たちを放つことはできなかった、というセリフ。

私は読んでいませんが、原作ではもっと詳細に記されているようです。
もしかしたらハンナの行動が理解できるかもしれません。

裁判ではハンナは「看守として責任があり囚人を逃がすことはできなかった」と言っています。
それに対し「責任があるから、逃がすより火事で殺したほうがいいと考えたのだね」と思われます。

つまり映画を見る限りでは、ハンナは「私は自分の仕事をしただけ。何が悪いの」と言っているように思われても仕方ないのです。
なんというか、子供を見ているようです。

子供って素直で、親に言われたことに忠実にこなすことがいいことだ、と思ったりしますよね。
言い換えるなら思考能力が低いのです。
それは子供なら仕方のないことです。
でも、ハンナは大人です。

いい意味でハンナが少女のようだと思わせる描写もありました。
マイケルと旅行に行った先で、教会で賛美歌を歌う子供たちがいました。

その歌声の美しさ(教会も美しい!)を聞いたハンナは涙を流して感動するのです。
まるでこんなに美しいものを初めて知った、というように純粋無垢な様子です。

その少女性、いやな言い方をすれば幼稚な思考のまま看守の仕事をした上の悲劇だったのかもしれません。
もっとも、ハンナ一人の責任ではないですし、そもそも罪のない人々が捕らわれていること自体がおかしいのですが。

マイケルはその裁判の様子を見ていました。
そして、服役を経てハンナがどう変わったのか知りたかったのだと思います。

でも、マイケルはハンナが変わっていないように感じました。

ハンナはハンナで「私は私でいただけ」。
でも、マイケルは理解してくれない。

そこに絶望したのではないかと。

罪の意識ゆえ?

もう一つ、イマイチ腑に落ちないところはあるけれど「罪の意識故の自殺」と考えられなくもないです。
というか、そう考える人も多いと思います。

ハンナは裁判の時点では罪の意識を感じているように見えませんでした。
前述のようにマイケルにも「裁判の前は全然考えなかった。必要がなかった」と言ってますから。

でも、マイケルが朗読のテープを送り、自分でも字を学ぶようになり、本を読めるようになりました。
そこで被害者の書いた本や、アウシュビッツについての本を読み、自分のしたことを理解したのではないかと。

そして罪の意識が募り、自殺に至った、とも考えられます。

実際にハンナは遺書として被害者にお金を送るようマイケルに頼んでいます。

でも、この解釈には疑問が残ります。

もし罪の意識故のことなら、あのタイミングだったのでしょう。
本を読んで罪の意識を感じてすぐに自殺しても不思議ではありません。

それに、マイケルに「どう感じようとどう考えようとも死者は生き返らない」なんて言わないと思います。

総合して考えると、自殺の原因は「絶望」だったのでは、と思えます。

こちらも、「恐ろしいこと」についてと同様私の解釈なので人それぞれ感じ方は違うと思います。

思うところは十人十色にしろ、私にはとてもいい映画です!

また時間をおいて見たいなぁ、と思います(^^)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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